「公認会計士」と「会計士」、この二つの言葉、実は明確な違いがあることをご存知でしょうか? 多くの人が混同しがちですが、公認会計士と会計士の違いを理解することは、会計の世界をより深く知る上でとても重要です。この記事では、この二つの違いを分かりやすく、そして詳しく解説していきます。

公認会計士と会計士、資格と業務範囲の違い

まず、一番分かりやすい違いは「資格」です。公認会計士は、国の試験に合格した「国家資格」を持った専門家です。一方、「会計士」という言葉は、会計の専門家全般を指す広い意味で使われることが多く、必ずしも国家資格を持っているとは限りません。つまり、公認会計士は会計士の一種ですが、全ての会計士が公認会計士ではありません。

この資格の違いから、できる仕事の範囲も変わってきます。公認会計士は、会社の財務諸表を監査する「監査業務」という、法律で定められた独占業務を行うことができます。これは、会社の信頼性を保証する非常に重要な仕事です。監査業務は、公認会計士でなければ行うことができません。

一方、資格を持たない「会計士」と呼ばれる方々は、経理業務のサポートや税務申告の補助、記帳代行など、幅広い会計関連の業務に携わります。もちろん、実務経験を積んで知識やスキルを磨き、高度な業務をこなす方もたくさんいらっしゃいます。しかし、法律で定められた監査業務は、公認会計士の独占業務なのです。

資格 業務範囲
公認会計士 監査業務、税務、コンサルティングなど
会計士(資格なし) 経理サポート、記帳代行、税務補助など

公認会計士になるための道のり

公認会計士になるためには、非常に難易度の高い「公認会計士試験」に合格する必要があります。この試験は、会計学、監査論、会社法、税法など、多岐にわたる専門知識が問われます。

試験合格後も、すぐに公認会計士として登録できるわけではありません。実務経験を積むための「実務補習」という期間があり、通常2年半から3年ほどかかります。この期間中に、実際の監査現場で経験を積み、専門家としてのスキルを磨きます。

さらに、実務補習を修了した後も、最終的に「修了考査」という試験に合格しなければ、公認会計士として正式に登録できません。このように、公認会計士になるためには、長い年月と大変な努力が必要なのです。

  • 一次試験:短答式試験(マークシート方式)
  • 二次試験:論文式試験(記述式)
  • 実務補習
  • 修了考査

会計士の多様な働き方

「会計士」という言葉は、先ほども触れたように、公認会計士以外にも、税理士や、企業内で経理を担当する方々など、会計の専門家全般を指すことがあります。それぞれの専門分野や資格によって、得意とする業務が異なります。

例えば、税理士は税務の専門家であり、税務相談や税務申告書の作成などを主に行います。企業内の経理担当者は、日々の仕訳入力、月次・年次決算、予算管理など、企業の経営を支える重要な役割を担っています。

これらの「会計士」と呼ばれる方々も、それぞれの分野で高度な専門知識と実務経験を持っています。彼らの存在があってこそ、企業の会計業務は円滑に進むのです。

  1. 税理士
  2. 企業内経理担当者
  3. 公認会計士(狭義)

公認会計士の仕事内容:監査業務とは?

公認会計士の最も代表的な仕事は、企業の財務諸表が「適正」に作成されているかをチェックする「監査業務」です。これは、投資家や債権者など、企業の外部の人々が、その会社の財政状態や経営成績を正しく理解するために不可欠なプロセスです。

具体的には、企業の帳簿や証憑(しょうひょう:取引を証明する書類)を調べ、財務諸表の数字が実際の取引と一致しているか、会計のルール(会計基準)に沿って正しく処理されているかなどを検証します。この監査を行うことで、財務諸表の信頼性が高まり、企業の透明性が保たれるのです。

監査業務は、金融商品取引法や会社法など、法律によって公認会計士にしかできないと定められています。 この法律で定められた独占業務を行えるという点が、公認会計士の最も大きな特徴であり、社会的な使命とも言えるでしょう。

監査業務以外にも、公認会計士は以下のような多様な業務を行います。

  • コンサルティング業務:経営戦略やM&A(企業の合併・買収)に関するアドバイス
  • IPO(新規株式公開)支援:上場を目指す企業のサポート
  • 税務業務:法人税や所得税などの申告・相談
  • 国際業務:海外進出企業の会計・税務サポート

会計士のキャリアパス

「会計士」という広い枠組みの中で、どのようなキャリアを歩むかは、その人がどのような資格を持っているか、どのような分野に興味があるかによって大きく異なります。公認会計士を目指す人もいれば、税理士として活躍する人もいます。また、企業の経理部門で経験を積んでいく人もいます。

公認会計士になった場合、監査法人で監査業務に携わるのが一般的なスタートです。その後、経験を積んでマネージャーやパートナーといった役職を目指したり、独立して会計事務所を開業したり、企業のCFO(最高財務責任者)などの経営幹部になる道もあります。

税理士として活躍する人は、税理士法人や個人の税理士事務所で、税務申告や税務相談を中心に業務を行います。こちらも経験を積んで独立開業する道や、税務コンサルタントとして活躍する道があります。

企業の経理部門で働く人は、企業の規模や業種によって担当する業務は様々ですが、財務諸表の作成、予算管理、資金繰りなど、会社の経営に直結する重要な業務を担います。将来は、経理部長などの管理職を目指したり、経営企画部門に移ったりするキャリアパスも考えられます。

公認会計士と会計士、どちらがより専門的?

「どちらがより専門的か?」という問いに対しては、一概にどちらとは言えません。なぜなら、「会計士」という言葉が指す範囲が広いためです。しかし、 公認会計士は、国の定める試験をクリアし、監査という独占業務を行うことができる、法的に認められた高度な専門家である と言えます。

公認会計士試験の合格率が非常に低いことからも、その専門性の高さが伺えます。また、監査業務は、企業の経営の健全性を保証するという社会的な責任を伴うため、極めて高い倫理観と専門知識が求められます。

一方で、税理士も税務の分野における高度な専門家ですし、企業で長年経理を担当してきた方も、その分野においては誰にも負けない専門知識と経験を持っていることでしょう。それぞれの分野で、それぞれの専門性があるのです。

まとめ:公認会計士と会計士の違いを理解して

公認会計士と会計士の違いは、主に「資格の有無」と、それに伴う「できる仕事の範囲」にあります。公認会計士は国家資格を持った監査の専門家であり、会計士という言葉はより広い意味で使われます。どちらも会計のプロフェッショナルであることに変わりはありませんが、それぞれの役割や専門性は異なります。

この記事を通して、公認会計士と会計士の違いについて、より深く理解していただけたなら幸いです。会計の世界は奥深く、それぞれの専門家が社会を支えています。

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