口内炎と舌がん、どちらも口の中にできる「できもの」ですが、その原因や性質は大きく異なります。 口内炎と舌がんの違い を正しく理解することは、早期発見・早期治療のために非常に重要です。この違いを知っておけば、もしもの時に慌てず、適切な行動をとることができます。
口内炎と舌がん:見た目と痛みの違い
口内炎の最も特徴的な症状は、その「痛み」です。食べ物がしみたり、話すだけでズキズキしたりと、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴うことが多いです。見た目も、白や黄色い円形、楕円形のできもので、境界線がはっきりしているのが一般的です。そして、通常は1~2週間程度で自然に治癒するのが特徴です。
一方、舌がんの初期段階では、痛みがほとんどない場合が多いです。そのため、気づかずに進行してしまうことも少なくありません。見た目も、口内炎のように「できもの」として認識しにくいことがあります。例えば、硬いしこりのように感じられたり、ただの傷のように見えたりすることもあります。
この痛みの有無や、できものの性質の違いは、口内炎と舌がんを見分ける上で非常に大切なポイントとなります。
- 口内炎 :
- 強い痛みがある
- 白や黄色い円形・楕円形のできもの
- 1~2週間で治ることが多い
- 舌がん :
- 初期は痛みが少ないことが多い
- 硬いしこり、ただの傷のように見えることも
- 治りにくい
原因を知ろう:口内炎と舌がんの背景
口内炎の原因は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 物理的な刺激 : 歯ブラシが当たったり、誤って舌を噛んでしまったり
- 栄養不足 : ビタミンB群や鉄分などが不足している場合
- ストレスや疲労 : 免疫力が低下している時
- アレルギー : 特定の食べ物や歯科材料など
これらの原因は、一時的なものであったり、生活習慣を改善することで解消されることが多いです。そのため、口内炎は自然治癒する可能性が高いのです。
対照的に、舌がんの主な原因は、長年の喫煙や過度の飲酒、そして慢性的な刺激が挙げられます。特に、喫煙は舌がんのリスクを大幅に高めることが知られています。また、不衛生な入れ歯や、常に舌を噛む癖なども、がん化のリスクを高める要因となり得ます。
つまり、口内炎は「一時的なトラブル」であることが多いのに対し、舌がんは「長期的な要因」が積み重なって発生するリスクがある、という違いがあるのです。
治りにくい「できもの」は要注意
口内炎であれば、通常は1週間から2週間程度で自然に治ります。しかし、舌にできた「できもの」が、それ以上経っても治らない、あるいは悪化していく場合は、舌がんの可能性を疑う必要があります。治りにくさ、というのは、見逃してはいけないサインの一つです。
特に、舌の側面や裏側、舌の付け根などにできた、硬いしこりのようなものや、なかなか消えない潰瘍(かいよう)は注意が必要です。口内炎のように白く見えることもありますが、周囲の組織と比べて硬かったり、出血しやすかったりする場合は、専門医の診察を受けるべきでしょう。
「まあ、そのうち治るだろう」と自己判断せず、長引く症状には注意を払うことが大切です。
見た目の変化に注目!
口内炎は、その形や色が比較的安定していることが多いです。しかし、舌がんの場合は、徐々にその形状や色が変化していくことがあります。例えば、初めは小さかったものが大きくなったり、表面がザラザラしてきたり、色が悪くなったりすることがあります。
また、舌がんが進行すると、周囲の神経や血管に影響を及ぼし、以下のような変化が見られることもあります。
- 舌の動きが悪くなる
- しびれを感じる
- 出血しやすくなる
- 口臭が強くなる
これらの変化は、口内炎では通常見られないものです。日頃から自分の舌の状態をよく観察し、普段と違う変化に気づくことが重要です。
リンパ節への転移の可能性
口内炎は、通常、局所的な炎症に留まり、他の部位に広がることはありません。しかし、舌がんは悪性腫瘍であるため、周囲のリンパ節に転移する可能性があります。特に、首のリンパ節に腫れが見られる場合は、がんが進行しているサインかもしれません。
舌がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
| 初期症状 | 進行した場合の症状 |
| 舌の違和感、小さな傷 | 硬いしこり、出血、強い痛み |
| 首のリンパ節の腫れ | |
| 舌の動きが悪くなる、しびれ |
首のリンパ節の腫れは、風邪などでも起こり得ますが、舌のできものと同時に起こった場合は、念のため医師に相談することが推奨されます。
専門医による診断が重要
口内炎と舌がんの最も確実な違いは、専門医による診断です。自己判断で「これは口内炎だろう」と決めつけるのは危険です。もし、2週間以上治らない、痛みが強い、硬いしこりがある、出血しやすいといった症状がある場合は、迷わず歯科医師や口腔外科を受診しましょう。
医師は、視診や触診に加え、必要に応じて細胞診(組織の一部を採取して調べる検査)や画像検査(CTやMRIなど)を行い、正確な診断を下します。早期に診断を受ければ、治療の選択肢も広がり、予後も格段に良くなります。
診断を受けることで、安心感が得られることもあります。
まとめ:早期発見・早期治療のために
口内炎と舌がんの違いを理解することは、あなたの口の中の健康を守るための第一歩です。口内炎は一時的なもので、すぐに治ることがほとんどですが、舌がんは放置すると命に関わる病気です。治りにくい、形が変わる、硬いしこりがあるなどのサインに気づいたら、すぐに専門医に相談しましょう。あなたの健康は、あなた自身が守っていくことが大切なのです。