「国民健康保険料」と「社会保険料」、似ているようで実は違うもの。 この二つの違いを理解することは、自分の支払っている保険料が何に使われているのかを知る上で、とても大切です。 そこで今回は、それぞれの特徴を分かりやすく解説していきます。
国民健康保険料と社会保険料、一体何が違うの?
まず、一番大きな違いは「誰が加入する保険なのか」という点です。国民健康保険(国保)は、主に自営業の方や、会社勤めをしていても社会保険に加入していない方が加入する保険です。一方、社会保険は、会社勤めをしている人が加入する保険で、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などをまとめて指します。つまり、 「国民健康保険料」は国保の保険料、「社会保険料」は社会保険の保険料 ということになります。
さらに、保険料の決まり方にも違いがあります。国保の保険料は、お住まいの市区町村によって金額が異なります。収入だけでなく、世帯の人数なども考慮されて計算されることが多いです。対して、社会保険料は、お給料から天引きされることが一般的で、標準報酬月額という、お給料の額によって決められた等級に基づいて計算されます。この計算方法の違いが、保険料の金額に影響を与えます。
それぞれの保険制度は、国民全員が病気やケガをしたときに、安心して医療を受けられるように、また、老後や失業などのライフイベントに備えられるように作られています。どちらに加入していても、 いざという時のためのセーフティネットとなる重要な役割 を担っています。
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国民健康保険料
- 対象:自営業者、パート・アルバイトなどで社会保険に加入していない方など
- 保険料の決まり方:市区町村によって異なり、収入や世帯人数などを考慮
- 主な給付:病気やケガをした際の医療費助成
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社会保険料
- 対象:会社勤めをしている方
- 保険料の決まり方:標準報酬月額に基づいて計算され、給料から天引き
- 主な給付:医療費助成、老齢年金、遺族年金、失業手当など(健康保険、年金保険、雇用保険など、加入する保険による)
国民健康保険料の仕組みと特徴
国民健康保険料は、お住まいの市区町村が運営しています。そのため、市区町村ごとに保険料の計算方法や金額が少しずつ違うのが特徴です。「所得割」「均等割」「平等割」といった複数の要素を組み合わせて保険料が計算されることが一般的です。
- 所得割 :前年の所得に応じて計算される部分。所得が高いほど保険料も高くなります。
- 均等割 :世帯に加入している人数に応じて計算される部分。人数が多いほど高くなります。
- 平等割 :世帯全体で均等にかかる部分。
このように、国民健康保険料は、所得だけでなく、家族構成なども考慮して、公平性を保つように設計されています。 所得が低い方や、世帯人数が多い方にとっては、保険料の負担が軽減されるような仕組み も用意されています。
また、国民健康保険には、病気やケガをした際の医療費の自己負担額を軽減してくれるだけでなく、高額な医療費がかかった場合に、上限額を超えた分が払い戻される「高額療養費制度」もあります。これは、国民健康保険料を支払っているからこそ受けられる重要な制度です。
| 保険料の計算要素 | 説明 |
|---|---|
| 所得割 | 前年の所得によって決まる |
| 均等割 | 世帯の人数によって決まる |
| 平等割 | 世帯全体で均一にかかる |
社会保険料の構成要素
社会保険料は、一般的に「健康保険料」と「厚生年金保険料」の合計額を指すことが多いです。これらは、会社員や公務員などが加入する公的保険制度の保険料であり、毎月の給与から天引きされる形で納付されます。 この二つの保険料を合わせて「社会保険料」と呼ぶのが一般的 です。
- 健康保険料 :病気やケガをした際の医療費の自己負担を軽減するための保険料です。
- 厚生年金保険料 :将来受け取る年金(老齢年金、障害年金、遺族年金など)のための保険料です。
これらの保険料は、加入者の「標準報酬月額」に基づいて計算されます。標準報酬月額とは、毎月のお給料や賞与などの金額を、一定のルールで区切った等級に当てはめたものです。 この等級が高ければ高いほど、支払う保険料も高くなります。
また、健康保険料と厚生年金保険料は、加入者と事業主(会社)が半分ずつ負担するのが原則です。そのため、実際に給与から天引きされる社会保険料は、本来の保険料の半分ということになります。
保険料の納付先と用途の違い
国民健康保険料の納付先は、お住まいの市区町村です。市区町村が保険料を集め、国民健康保険事業の運営に使われます。具体的には、加入者が病気やケガをした際の医療費の給付、出産育児一時金、葬祭費などに充てられます。 納めた保険料が、地域住民全体の医療や福祉のために使われる イメージです。
一方、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は、それぞれ所管する独立行政法人(健康保険組合や日本年金機構など)に納付されます。健康保険料は、健康保険組合や協会けんぽなどの医療保険制度の運営に、厚生年金保険料は、日本年金機構を通じて年金給付のために使われます。 老後の生活や、万が一の際の年金給付といった、より長期的な社会保障に繋がっていく のが特徴です。
このように、納付先が市区町村か、あるいは独立行政法人かという違いがあり、その用途も、地域住民のための医療・福祉か、それとも年金制度の運営か、といった違いがあります。
加入義務と任意加入
国民健康保険と社会保険では、加入義務の考え方に違いがあります。日本に住んでいる20歳以上65歳未満の人は、原則として全員、国民健康保険または会社の健康保険(社会保険)に加入する義務があります。これは、 「国民皆保険制度」 といって、日本国民全員が何らかの公的医療保険に加入することを目的とした制度です。
会社勤めをしている人は、通常、会社の健康保険(社会保険)に加入します。もし、会社勤めを辞めた場合でも、国民健康保険に加入するか、任意継続という形で元の会社の健康保険を続けるか、あるいは家族の健康保険の扶養に入るか、といった選択肢があります。 国民健康保険は、社会保険に加入できない人が、医療保険に加入するための「最後の砦」のような役割 も担っています。
一方で、任意で加入できる保険もあります。例えば、自営業者の方が、万が一の所得減少に備えて個人で民間の生命保険や医療保険に加入することは、義務ではありません。しかし、公的保険である国民健康保険や社会保険は、国民の健康と生活を守るための必須の制度であり、加入は義務となります。
保険料の減免制度について
国民健康保険料には、所得が低い世帯や、特定の事情がある世帯に対して、保険料の減免制度が設けられています。例えば、前年中の所得が一定額以下の場合、保険料の所得割額が軽減されたり、均等割額や平等割額が減額されたりする場合があります。 経済的な理由で保険料の支払いが困難な場合でも、安心して医療を受けられるようにするための支援制度 です。
社会保険料にも、失業して給与がなくなった場合などに、保険料の支払いが猶予されたり、減額されたりする制度があります。また、産休・育休期間中には、健康保険料や厚生年金保険料が免除される制度もあります。これは、 ライフイベントに応じて、保険料負担を軽減し、生活を支援するため のものです。
これらの減免制度や猶予制度は、各制度の窓口(市区町村役場や年金事務所など)で相談し、申請することで利用できる場合があります。 困ったときは、遠慮なく相談することが大切 です。
国民健康保険料と社会保険料は、どちらも私たちの健康や生活を守るために欠かせない保険料です。それぞれの違いを理解し、ご自身の状況に合わせて、どのような保険に加入しているのか、どのような制度があるのかを知っておくことは、将来設計においても非常に役立ちます。 この知識が、皆さんの安心した生活に繋がることを願っています。