「手形」と「小切手」、どちらもお金のやり取りに使うものだということは知っていても、具体的に何が違うのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。この二つの違いを理解することは、ビジネスシーンはもちろん、日常生活でも役立つことがあります。この記事では、 手形 と 小切手 の 違い を、初心者の方にも分かりやすく、ていねいに解説していきます。
支払いの「タイミング」と「機能」が大きく違う!
手形と小切手の最大の違いは、支払いのタイミングと、それぞれが持つ機能にあります。小切手は、発行されたらすぐに銀行から現金を引き出せる、いわば「即時決済」の性質が強いのに対し、手形は、あらかじめ決められた期日(満期日)にならないと現金化できない、という特徴があります。この「いつお金が動くか」という点が、手形と小切手の根本的な違いと言えるでしょう。
具体的に見ていきましょう。小切手は、受け取った人がすぐに銀行に持っていけば、その場で現金を受け取ることができます。これは、小切手が「支払いの証拠」として機能するからです。一方、手形は「将来の支払いを約束するもの」であり、満期日が設定されているため、その日までは換金ができません。この満期日があることが、手形が「信用」を基盤としていることを示しています。
この違いから、手形と小切手はそれぞれ異なる目的で使われます。小切手は、一時的な支払い手段として、または現金を持ち歩くリスクを避けるために使われることが多いです。一方、手形は、まとまった金額の取引や、信用取引において、後払いの手段として利用されることが一般的です。 手形 と 小切手 の 違い を理解することは、これらの証書を正しく使い分けるための第一歩となります。
以下に、手形と小切手の主な違いをまとめました。
- 決済時期: 小切手は即時、手形は満期日以降
- 主な機能: 小切手は支払いの証拠、手形は将来の支払いの約束(信用)
- 利用シーン: 小切手は即時決済、手形は信用取引や後払い
「振出人」と「受取人」の関係性
手形と小切手では、発行する人(振出人)と受け取る人(受取人)の関係性にも違いが見られます。小切手は、振出人が銀行に預けているお金を、受取人に支払うための指示書のようなものです。そのため、振出人は自分が払えるだけの現金や預金を持っていることが前提となります。もし、預金以上の金額の小切手を振り出してしまった場合、「不渡り」となり、信用問題にも関わってきます。
一方、手形は、振出人が受取人に対して「満期日になったら、指定の金額を支払います」という約束の証書です。ここには、振出人の「信用力」が大きく関わってきます。例えば、まだ手元にお金がなくても、相手との信頼関係があれば手形を発行することができます。これは、企業間取引などで、資金繰りの都合上、すぐに支払いができない場合に利用されることがあります。
また、手形には「約束手形」と「為替手形」という種類があります。約束手形は、振出人自身が満期日に支払うことを約束するもので、個人間や企業間でもよく使われます。為替手形は、振出人が第三者(支払人)に対して、受取人に支払うように依頼するもので、国際貿易などで利用されることがあります。
このように、振出人と受取人の関係性や、その証書が持つ「信用」の側面において、手形と小切手には明確な違いがあります。
「流通性」と「譲渡」について
手形と小切手では、その「流通性」、つまり、お金のように他の人に渡して使うことができるかどうかの性質にも違いがあります。小切手は、基本的に振出人が指定した受取人本人、またはその代理人にしか支払われません。譲渡するには、裏書という手続きが必要になり、その手続きも手形に比べると煩雑な場合があります。
それに対して、手形は、満期日前の「裏書」という行為によって、第三者に譲渡することが比較的容易です。例えば、AさんがBさんに手形を渡し、Bさんがその手形をCさんに渡して支払いに充てる、といったことが可能です。この性質から、手形は「流通証券」としての側面も持ち合わせています。
この流通性の違いは、それぞれの証書がどのような場面で利用されるかに影響を与えます。小切手は、より個人的な支払い、または直接的な決済に用いられることが多いです。一方、手形は、企業間での資金の移動や、掛売り(後払い)の決済手段として、幅広い取引で活用されてきました。
以下に、流通性に関する主な点をまとめます。
| 証書 | 譲渡のしやすさ | 主な譲渡方法 |
|---|---|---|
| 小切手 | 限定的 | 裏書(場合による) |
| 手形 | 比較的容易 | 裏書 |
「担保」としての機能
手形は、その「信用」を基盤としていることから、場合によっては「担保」のような役割を果たすことがあります。例えば、企業が銀行から融資を受ける際に、手形を担保として差し入れることがあります。これは、満期日になれば確実に支払いが行われるという手形の性質を利用したものです。
小切手には、このような担保としての機能はほとんどありません。小切手はあくまで「現金の引き換え証」としての性格が強いため、担保として有効活用されることは一般的ではありません。
この担保としての機能の有無は、手形が持つ「信用」の度合いを示しています。手形は、振出人の信用力を裏付けとして、金融取引や商取引において重要な役割を果たしてきたのです。
「割引」という制度
手形には、「割引」という制度があります。これは、満期日前の手形を、銀行などの金融機関に持ち込み、満期日までの利息(割引料)を差し引いた金額で、現金化してもらう制度です。例えば、手形が満期日より前に現金化したい場合、この割引制度を利用することで、すぐに資金を得ることができます。
小切手には、このような割引制度はありません。小切手は、発行されてからすぐに現金化できる性質を持っているため、満期日を待って割引くという概念自体が存在しないのです。
割引制度があることで、手形はより柔軟な資金調達手段としても活用されてきました。企業は、手形を期日前に現金化することで、資金繰りを改善させることができるのです。
「換金性」と「リスク」
手形と小切手の換金性、そしてそれに伴うリスクについても考えてみましょう。小切手は、銀行に提示すればすぐに現金化できます。そのため、換金性は非常に高いと言えます。ただし、振出人の預金残高が不足している場合、「不渡り」となり、換金できないリスクがあります。
手形は、満期日にならないと現金化できません。そのため、急いで現金が必要な場合には不向きです。しかし、割引制度を利用すれば、満期日前に換金することも可能です。手形のリスクとしては、振出人が倒産した場合など、満期日に支払いができなくなる「不渡り」のリスクが挙げられます。また、偽造や盗難のリスクも考慮する必要があります。
これらの換金性とリスクを理解することで、どちらの証書がどのような状況に適しているかを判断することができます。
「電子化」への流れ
近年、手形や小切手は、より便利で安全な「電子化」へと進んでいます。特に手形については、これまで紙媒体でのやり取りが主流でしたが、「電子記録債権」という形で、インターネット上で取引が完結できるようになりました。これにより、紛失や盗難のリスクが減り、事務手続きも効率化されています。
小切手も、将来的には同様に電子化が進む可能性が考えられます。しかし、手軽さや普及度から、まだ紙媒体での利用も続いています。電子化は、これらの証書の「安全性」と「利便性」を向上させるための重要な流れと言えるでしょう。
このように、手形と小切手は、それぞれ異なる歴史的背景や特徴を持っていますが、現代社会においては、より効率的で安全な形へと変化を遂げつつあるのです。
手形と小切手の違いを理解することは、お金のやり取りにおける様々な選択肢を知る上で非常に重要です。それぞれの特性を把握し、状況に応じて適切に使い分けることで、よりスムーズで安心な取引ができるようになるでしょう。この記事が、皆様の理解の一助となれば幸いです。