「法人税」と「所得税」、どちらも税金という言葉はつきますが、一体何が違うのでしょうか?実は、この二つの税金は、誰が、どんな所得に対してかかるのか、という根本的な部分で大きく異なります。 法人 税 と 所得税 の 違い を理解することは、ビジネスをされている方、これから起業を考えている方、あるいは単に税金について知っておきたい方にとって、非常に重要 です。
納税主体と課税対象の違い
まず、一番大きな違いは「誰が税金を払うのか」という点です。法人税は、その名の通り「法人」、つまり会社などの組織が払う税金です。一方、所得税は「個人」が払う税金になります。会社が稼いだ利益は、まず法人税として会社自身が税金を納める必要があります。
では、何に対して税金がかかるのでしょうか?法人税の課税対象は、会社の「所得」、つまり会社が1年間で得た利益から、経費などを差し引いたものです。所得税の場合は、個人が1年間で得た「所得」、例えば給料や事業で得た収入などから、必要経費や所得控除などを差し引いたものになります。
この違いをまとめると、以下のようになります。
| 税金の種類 | 納税主体 | 課税対象 |
|---|---|---|
| 法人税 | 法人(会社など) | 法人の所得(利益) |
| 所得税 | 個人 | 個人の所得 |
税率の仕組み
法人税と所得税では、税率の仕組みにも違いがあります。法人税は、会社の利益の額によって税率が変わる「累進課税」ではなく、一定の税率が適用されることが一般的です。もちろん、中小企業向けの軽減税率などもありますが、基本的には所得の多寡によって税率が劇的に変わるわけではありません。
一方、所得税は、個人の所得が増えれば増えるほど税率も高くなる「累進課税」が採用されています。これは、所得の多い人ほど多くの税金を負担するという考え方に基づいています。
税率の例をいくつか見てみましょう。
- 法人税:中小企業の場合、実効税率は約23.2%程度が一般的ですが、資本金や利益額によって変動します。
- 所得税:所得が高くなるにつれて、税率も段階的に上がっていきます(最高税率は約55%)。
この累進課税の仕組みがあるため、個人の所得が大きくなると、所得税の負担はかなり重くなります。
計算期間と申告時期
法人税と所得税では、税金を計算する期間や、税務署に申告する時期にも違いがあります。法人税は、会社の会計期間(決算期)に基づいて計算されます。多くの会社では1年に1回決算を行い、その期間の利益に対して法人税を計算し、申告・納税を行います。
所得税の場合、原則として1月1日から12月31日までの1年間の所得をまとめて計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。会社員の方などは、年末調整で税額が確定することが多いですが、副業などで収入がある場合は、自分で確定申告をする必要があります。
両者の計算期間と申告時期をまとめると、以下のようになります。
-
法人税:
- 計算期間:会社の会計期間(通常1年)
- 申告・納税時期:決算日の翌日から2ヶ月以内
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所得税:
- 計算期間:1月1日から12月31日まで
- 申告・納税時期:翌年2月16日から3月15日まで
繰越欠損金と損益通算
会社が赤字になった場合、法人税では「繰越欠損金」という制度があります。これは、その年に出た赤字を、将来の黒字と相殺できるというものです。これにより、税負担を軽減することができます。赤字を繰り越せる期間も定められています。
一方、所得税にも「損益通算」という似たような制度がありますが、個人の所得においては、事業所得や不動産所得などの「損益」と、給与所得などの「利益」を相殺できる範囲に限りがあります。すべての所得が自由に相殺できるわけではない点に注意が必要です。
損益通算のルールを簡単にまとめると、以下のようになります。
- 事業所得の赤字は、他の所得(給与所得など)と通算できる。
- しかし、総合課税の対象とならない所得(分離課税の所得)の赤字は、他の所得と通算できない場合が多い。
消費税との関係
法人税や所得税とは別に、消費税という税金があります。これは、商品やサービスを購入した際に、その価格に上乗せして支払う税金です。個人事業主や法人は、一定の売上高を超えると消費税の納税義務が生じます。
法人税や所得税は、あくまで「利益」や「所得」そのものにかかる税金ですが、消費税は「消費」にかかる税金という位置づけになります。このため、法人税や所得税の計算とは別に、消費税の計算と納税を行う必要があります。
消費税の納税義務者となるかどうかは、以下の点も考慮されます。
- 前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、免税事業者となる。
- ただし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入により、免税事業者であっても、登録事業者になれば課税事業者となることも選択できる。
法人税と所得税の違いを理解することは、税金に関する疑問を解消し、より賢く税金と向き合うための第一歩です。それぞれがどのような役割を持ち、どのような仕組みで計算されるのかを知ることで、ご自身の状況に合った税金対策を考えることができるでしょう。