「国民健康保険」と「協会けんぽ」、どちらも日本の公的医療保険制度ですが、その加入対象や運営方法には違いがあります。 国民健康保険と協会けんぽの違いを理解することは、ご自身の保険料や受けられるサービスを知る上で非常に重要です。 この記事では、これらの違いを分かりやすく解説していきます。

加入できるのは誰? 国民健康保険と協会けんぽの対象者

まず、一番大きな違いは「誰が加入できるか」という点です。国民健康保険は、主に自営業者やフリーランス、無職の方、そしてパート・アルバイトで一定の条件を満たさない方が加入する保険です。一方、協会けんぽ(全国健康保険協会)は、会社員とその扶養家族が加入する健康保険です。

具体的には、以下のような方々が国民健康保険に加入します。

  • 自営業を営んでいる方
  • 農業や漁業を営んでいる方
  • フリーランスや個人事業主の方
  • 退職して国民年金に加入している方
  • 年金受給者で、一定の所得がある方
  • 学生で、アルバイト収入がある方

対して、協会けんぽは、常時500人未満の事業所に勤める会社員とその家族が加入します。500人以上の大企業に勤めている場合は、その企業が独自に健康保険組合を設立していることが多いですが、それ以外は協会けんぽに加入することになります。

保険の種類 主な加入対象者
国民健康保険 自営業者、フリーランス、無職、一定の条件を満たさないパート・アルバイトなど
協会けんぽ 中小企業などの会社員とその扶養家族

保険料はどう決まる? 国民健康保険と協会けんぽの保険料の違い

保険料の決め方にも違いがあります。国民健康保険の保険料は、お住まいの市区町村によって計算方法が異なりますが、一般的には「所得割」「均等割」「資産割」「平等割」といった項目を組み合わせて計算されます。所得に応じて負担が変わる「所得割」の割合が高い自治体もあれば、加入者一人ひとりに均等にかかる「均等割」の割合が高い自治体もあります。

一方、協会けんぽの保険料は、加入している「会社」と「従業員」が負担します。保険料率は全国一律で定められており、収入(給与や賞与)によって決まります。具体的には、標準報酬月額に保険料率をかけたものが保険料となります。この保険料は、会社が半分、従業員が半分を負担するのが一般的です。

両者を比較すると、以下のような特徴があります。

  1. 国民健康保険: 所得だけでなく、資産や世帯構成によっても保険料が変わることがある。
  2. 協会けんぽ: 収入(給与・賞与)に基づいて計算され、会社と折半する。

どんなサービスが受けられる? 給付内容の違い

病気やケガをした際の医療費負担は、どちらの保険に加入していても原則として1割〜3割負担となります。これは、日本の公的医療保険制度の基本的な部分です。しかし、傷病手当金や出産手当金といった、病気や出産で働けなくなった際の所得補償については、内容に違いが見られます。

国民健康保険の場合、市区町村によっては傷病手当金や出産手当金が支給されない、あるいは支給期間や金額が限られている場合があります。これは、国民健康保険が市町村単位で運営されているため、財政状況によって給付内容が変わることがあるからです。

対して、協会けんぽには傷病手当金や出産手当金、育児休業給付金などの制度が比較的充実しています。これらの手当金は、会社員が安心して病気や育児と向き合えるようにするための重要な制度と言えるでしょう。

  • 傷病手当金: 病気やケガで会社を休み、給与が支払われない場合に支給される。
  • 出産手当金: 出産のために会社を休み、給与が支払われない場合に支給される。

運営は誰がしている? 国民健康保険と協会けんぽの運営体制

国民健康保険は、各市区町村が保険者となって運営しています。そのため、お住まいの地域によって保険料の計算方法や、受けられるサービスの一部に違いが生じることがあります。住民票がある市区町村に加入するのが一般的です。

一方、協会けんぽは、全国健康保険協会という独立行政法人が運営しています。全国に支部があり、会社員とその家族を対象とした健康保険事業を行っています。全国で一定の基準に基づいたサービスが提供されます。

運営体制の違いをまとめると以下のようになります。

保険の種類 運営者 特徴
国民健康保険 各市区町村 地域によって制度に違いがある
協会けんぽ 全国健康保険協会 全国一律の制度

保険証はいつ変わる? 転職や退職時の切り替えについて

国民健康保険と協会けんぽでは、加入するタイミングや保険証の切り替え手続きが異なります。会社員の方が転職したり、自営業を始めたりする際には、現在の保険証から新しい保険証への切り替えが必要です。

会社員が退職して無職になった場合、国民健康保険に加入することになります。この場合、以前の会社の健康保険証を返却し、お住まいの市区町村で国民健康保険の加入手続きを行います。手続きをしないと、医療費が全額自己負担になる場合もあるので注意が必要です。

逆に、国民健康保険に加入している方が会社に就職した場合、その会社の健康保険(協会けんぽなど)に加入することになります。この場合も、国民健康保険の保険証を返却し、新しい健康保険証を受け取る手続きが必要になります。

  1. 退職・無職になった場合: 国民健康保険への加入手続きが必要。
  2. 就職した場合: 会社の健康保険(協会けんぽなど)への加入手続きが必要。

付加給付とは? 協会けんぽの独自サービス

協会けんぽには、法律で定められた医療費負担の軽減(1〜3割負担)以外に、「付加給付」という独自のサービスがあります。これは、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超えた額の一部が払い戻される制度です。これにより、高額な医療費がかかった際の負担がさらに軽減されます。

付加給付の具体的な内容は、加入している健康保険組合によって異なりますが、協会けんぽでは一定の自己負担限度額が設けられています。この制度は、会社員とその家族が安心して医療を受けられるようにするための大切な仕組みです。

  • 付加給付: 自己負担額が一定額を超えた場合に、払い戻しがある制度。
  • 目的: 高額な医療費がかかった際の家計の負担を軽減する。

国民健康保険にも、市区町村によっては「高額療養費制度」など、医療費負担を軽減する制度がありますが、付加給付とは内容が異なる場合があります。

まとめ:国民健康保険と協会けんぽ、あなたはどちら?

国民健康保険と協会けんぽの違いを理解いただけたでしょうか。どちらの保険に加入するかは、ご自身の働き方やライフスタイルによって決まります。ご自身の保険がどちらに該当するのか、そしてどのような制度が利用できるのかを知っておくことは、万が一の際に安心して医療を受けるためにとても大切です。もし不明な点があれば、お住まいの市区町村の窓口や、勤務先の担当部署に確認してみましょう。

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