「従業員」と「社員」、どちらも会社で働いている人を指す言葉ですが、その違いをはっきり説明できますか?実は、この二つの言葉には、微妙ながらも重要なニュアンスの違いがあります。今回は、「従業員」と「社員」の違いを分かりやすく解説し、それぞれの言葉が持つ意味合いや、どのような場面で使い分けられるのかを見ていきましょう。

「従業員」と「社員」の基本的な意味合い

まず、「従業員」という言葉は、文字通り「従業(労働)をする人」という意味合いが強いです。会社から給料をもらって、指示された仕事をする人全般を指します。アルバイトやパートタイマー、派遣社員なども含めて、広く労働を提供している人を包括的に表現する際に使われます。 この広い範囲で使われる点が、「従業員」という言葉の大きな特徴です。

一方、「社員」は、会社に所属している「正社員」を指すことが一般的です。会社の正当な一員であり、会社の組織や文化に深く根ざしているイメージがあります。会社の看板を背負い、長期的な視点で会社に貢献することが期待される立場と言えるでしょう。

このように、

  • 従業員: 労働を提供し、給与を得る人全般(アルバイト、パート、派遣、契約社員、正社員などを含む)。
  • 社員: 主に会社の正社員を指し、組織の一員としての意識が強い。

という違いがあります。さらに詳しく見ていきましょう。

契約形態による違い

「従業員」と「社員」の区別は、雇用契約の形態によっても明確になります。一般的に、「社員」といえば正社員を指すことが多いですが、「従業員」はより広範な契約形態を内包します。

具体的には、以下のような契約形態があります。

  1. 正社員: 期間の定めのない雇用契約を結び、会社に直接雇用されている。
  2. 契約社員: 期間の定めのある雇用契約を結び、特定のプロジェクトや業務を担当する。
  3. パート・アルバイト: 時間給などで雇用され、比較的短時間勤務の場合が多い。
  4. 派遣社員: 派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の会社で働く。

これらのうち、正社員は当然「社員」であり「従業員」でもあります。しかし、パートやアルバイト、派遣社員は「従業員」ではありますが、一般的には「社員」とは呼びません。このあたりが、言葉の使い分けのポイントとなります。

会社との関係性の違い

「従業員」と「社員」では、会社との関係性にも違いが見られます。「社員」は、会社の組織の一員として、会社の目標達成のために積極的に貢献することが期待されます。昇進や昇給、福利厚生なども、正社員を前提とした制度が整っていることが多いです。

対して「従業員」は、業務委嘱契約や雇用契約に基づいて、一定の労働を提供することが主な関係性です。もちろん、すべての「従業員」がそうとは限りませんが、一般的には「社員」に比べて、会社への帰属意識や長期的な貢献の度合いが異なる場合があります。

例えば、

項目 社員 従業員(正社員以外)
帰属意識 高い 比較的低い
長期的な貢献 期待される 契約内容による
意思決定への関与 高い傾向 限定的

といった傾向が見られます。

言葉が使われる場面の違い

「従業員」と「社員」という言葉は、使われる場面によってそのニュアンスも変わってきます。例えば、会社が「従業員数」を発表する場合、それは正規・非正規を問わず、会社で働いているすべての人の数を指していることが多いです。これは、統計的なデータや、社会保険の加入対象などを考慮した、より広い意味での労働者の数を把握するためです。

一方で、社内での呼び方として「社員」が使われる場合は、やはり正社員を指すことがほとんどです。「社員旅行」や「社員割引」といった言葉も、基本的には正社員が対象となる場合が多いでしょう。

さらに、

  • 「従業員満足度調査」 : 会社で働くすべての人(従業員)の満足度を測る。
  • 「社員旅行」 : 主に正社員(社員)が参加するイベント。

このように、公的な場面や統計では「従業員」、社内での親しみや正社員を指す場合は「社員」という使い分けがされることがあります。

法的・社会的な定義

法律や社会的な文脈でも、「従業員」と「社員」という言葉の使われ方には違いがあります。労働基準法などの法律では、「労働者」という言葉が使われ、これは雇用契約に基づいて労働を提供する人を広く指します。この「労働者」という概念が、「従業員」という言葉の広義の意味合いに近いと言えます。

一方、「社員」という言葉は、会社法上の「社員」と、一般的な雇用における「社員」とで意味が異なります。会社法上の「社員」は、株式会社における株主を指すことがありますが、日常会話ではほとんど使われません。日常会話で「社員」という場合、それは主に会社の「正社員」を指します。

これらの定義をまとめると、

  1. 法律上の「労働者」 ≒ 日常会話での「従業員」(広義)
  2. 会社法上の「社員」 = 株主(日常会話ではあまり使われない)
  3. 日常会話での「社員」 = 正社員

となります。

「従業員」と「社員」の使い分けにおける注意点

「従業員」と「社員」の使い分けは、状況や文脈によって慎重に行う必要があります。例えば、採用活動で「社員募集」と謳っているのに、実際には契約社員やパート・アルバイトしか募集していない場合、誤解を招く可能性があります。

また、社内で「従業員」という言葉を多用しすぎると、正社員以外のスタッフが疎外感を感じてしまう可能性も否定できません。それぞれの立場の人々が、会社の一員として尊重されていると感じられるような言葉遣いを心がけることが大切です。

具体的には、

  • 求人広告: 契約形態を明記し、誤解のないようにする。
  • 社内コミュニケーション: 状況に応じて「従業員」「社員」「スタッフ」などを使い分ける。
  • 人事制度: 正社員以外の従業員にも、会社への貢献を認める機会を設ける。

といった配慮が求められます。

まとめ:より良い関係性のために

「従業員」と「社員」の違いについて、ここまで詳しく見てきました。どちらの言葉も会社で働く人々を指すものですが、その範囲やニュアンスには違いがあることがお分かりいただけたかと思います。「従業員」は広く労働を提供する人々を指し、「社員」は主に正社員を指すことが多いです。この違いを理解することで、より正確なコミュニケーションが可能になり、会社とそこで働く人々との、より良い関係性を築くための一助となるでしょう。

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