水疱瘡(みずぼうそう)と帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、どちらも「ヘルペスウイルス」という同じ種類のウイルスが原因で起こる病気ですが、その症状や経過には大きな違いがあります。 水疱瘡 と 帯状 疱疹 の 違い を理解することは、正しい予防や対処法を知る上で非常に重要です。
原因となるウイルスの正体とは?
水疱瘡と帯状疱疹の共通点は、どちらも「水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス(VZV)」というウイルスが原因で起こるということです。このウイルスは、初めて感染すると水疱瘡として現れ、その後、体の中に潜伏します。そして、免疫力が低下した時などに再び活動を始めると、帯状疱疹として発症するのです。
つまり、水疱瘡になったことがある人は、誰でも帯状疱疹になる可能性があると言えます。子供の頃にかかった水疱瘡が、大人になってから帯状疱疹となって再発するという関係性があるのです。このウイルスは非常に感染力が強く、空気感染もするため、注意が必要です。
水疱瘡と帯状疱疹のウイルスの関係をまとめると、以下のようになります。
- 原因ウイルス: 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
- 初感染: 水疱瘡
- 潜伏: 体内にウイルスが潜伏
- 再活性化: 免疫力低下時に帯状疱疹として発症
水疱瘡:子供がかかりやすい全身性の病気
水疱瘡は、主に子供がかかる感染症で、全身に赤い発疹(ぶつぶつ)が現れるのが特徴です。これらの発疹は、次第にかゆみを伴う水ぶくれ(水疱)になり、やがて乾いてかさぶたになっていきます。発熱や倦怠感といった全身症状を伴うこともあります。
水疱瘡の症状を時系列で見てみましょう。
- 潜伏期間: ウイルスに感染してから症状が出るまで約1~2週間。
- 初期症状: 微熱、倦怠感など。
- 発疹期: 全身に赤い発疹が出現し、水ぶくれに変化。強いかゆみを伴います。
- 回復期: 水ぶくれが乾き、かさぶたになって治癒。
水疱瘡は、感染力が非常に強いため、学校や保育園などで集団発生することも少なくありません。合併症として、肺炎や脳炎などを起こすことも稀にありますが、ほとんどの場合は自然に治癒します。
帯状疱疹:体の片側に現れる痛みを伴う病気
帯状疱疹は、水疱瘡と同じウイルスが原因ですが、症状の出方が異なります。体の片側の神経に沿って、ピリピリとした痛みやかゆみが出現し、その後に赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。顔、胸、背中、お腹など、体のどこにでも現れる可能性があります。
帯状疱疹の症状は、主に以下の段階で進みます。
| 段階 | 主な症状 |
|---|---|
| 初期 | 体の片側の神経に沿って、ピリピリ、チクチクとした痛みやしびれ。 |
| 発疹期 | 痛みのあった部分に、赤い発疹や水ぶくれが帯状に広がる。 |
| 回復期 | 水ぶくれが乾き、かさぶたになって治癒。ただし、痛みが長引くこともある(帯状疱疹後神経痛)。 |
帯状疱疹は、特に高齢者や免疫力が低下している人に多く見られます。痛みが非常に強く、日常生活に支障をきたすこともあります。また、顔に発症した場合は、顔面神経麻痺や難聴などの合併症を引き起こす可能性もあります。
感染経路の違い:水疱瘡は直接、帯状疱疹は二次感染に注意
水疱瘡の感染経路は、主に感染している人の咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、水ぶくれの液に触れることによる接触感染です。そのため、学校や幼稚園などで集団感染しやすいのが特徴です。
一方、帯状疱疹は、通常、水疱瘡にかかった人が体内に潜伏しているウイルスが再活性化することで発症します。帯状疱疹の患者さんの水ぶくれの液に直接触れることで、水疱瘡にかかったことのない人にウイルスが感染し、水疱瘡を発症させることがあります。ただし、帯状疱疹そのものが人から人へ直接感染して帯状疱疹になることは稀です。
発症しやすい年齢層と免疫力
水疱瘡は、主に1歳から6歳くらいまでの子供に多く見られます。ほとんどの人が子供の頃に感染し、一度かかると免疫ができるため、再感染することは稀です。
帯状疱疹は、加齢やストレス、病気などで免疫力が低下した際に発症しやすくなります。そのため、50歳以上に多く見られますが、子供でも免疫力が低下している場合は発症することがあります。つまり、水疱瘡にかかったことがない子供が、帯状疱疹の患者さんの水ぶくれに触れてしまうと、水疱瘡にかかる可能性があるのです。
症状の現れ方:全身か、片側か
水疱瘡の最も顕著な特徴は、全身に広がる発疹です。顔、頭、体、手足など、体のほとんどの部分に赤いぶつぶつが現れ、それが水ぶくれに変化していきます。かゆみが非常に強く、掻きむしると跡が残ることもあります。
対照的に、帯状疱疹は、体の片側の神経に沿って発疹が現れます。例えば、背中、お腹、胸、顔などに、左右どちらか一方にのみ、帯状に発疹が広がるのが特徴です。痛みが先行することが多く、発疹が出る前から「ズキズキ」「ピリピリ」とした痛みに悩まされることもあります。
治療法:抗ウイルス薬と対症療法
水疱瘡の治療は、主に発熱やかゆみを抑える対症療法が中心となります。かゆみが強い場合には、かゆみ止めの薬が処方されます。重症化しやすい場合や、合併症の可能性がある場合には、抗ウイルス薬が使われることもあります。水ぶくれを掻き壊さないように注意することが大切です。
帯状疱疹の治療は、早期に抗ウイルス薬を開始することが重要です。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化や合併症を防ぐ効果が期待できます。また、痛みが強い場合には、痛み止めの薬や神経ブロック療法などが行われることもあります。発症から72時間以内の受診が、早期治療の鍵となります。
予防法:ワクチン接種が有効
水疱瘡の予防には、水疱瘡ワクチン(水痘ワクチン)の接種が非常に有効です。1歳を過ぎたら接種できるようになり、2回接種することで、重症化を防ぐ効果が期待できます。水疱瘡にかかったことのない子供や、抵抗力のある大人でも、万が一のために接種を検討することをおすすめします。
帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンがあります。50歳以上の方が接種の対象となっており、発症を予防したり、発症した場合でも症状を軽くしたりする効果があります。帯状疱疹は、一度治っても再発する可能性があるため、ワクチン接種は有効な予防策と言えるでしょう。
水疱瘡と帯状疱疹は、同じウイルスから起こる病気ですが、その症状や経過、そして予防法には違いがあります。それぞれの病気の特徴を理解し、適切な予防策を講じることで、感染や重症化を防ぐことができます。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。