「書類」と「書面」、どちらも「文字が書かれたもの」というイメージで使われがちですが、実は微妙な違いがあります。この二つの言葉の「書類 と 書面 の 違い」を理解することで、より正確に、そして自信を持って日本語を使うことができるようになりますよ。
「書類」と「書面」の基本的な違いを理解しよう
「書類」と「書面」の最も大きな違いは、その「目的」と「性質」にあります。日常会話やビジネスシーンで、どちらの言葉を使うべきか迷ったときのために、それぞれの特徴をしっかり把握しておきましょう。
まず、「書類(しょるい)」というのは、より広い意味を持つ言葉です。これは、何かの記録や情報、指示などを伝えるために作成された、紙やそれに類する媒体に書かれたものの総称と言えます。
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例えば、学校の成績表、説明書、契約書、請求書、履歴書、企画書、議事録など、様々なものが「書類」に含まれます。これらは、何らかの目的があって作成され、保管されたり、提出されたり、参照されたりします。
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「書類」は、その内容よりも「記録」や「情報」としての側面が強い場合が多いです。そのため、たとえ手書きであっても、デジタルデータであっても、その「情報」が重要であれば「書類」と呼ぶことができます。
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「書類」という言葉は、その「内容」や「形式」にとらわれず、幅広く使える便利な言葉なのです。
一方、「書面(しょめん)」は、より限定的な意味合いを持つ言葉です。こちらは、特に「法律や契約など、公的な効力を持ったり、法的な義務や権利に関わったりする内容が記載されたもの」を指すことが多いです。
| 書面 |
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| 例 |
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「書面」という言葉を使うときは、その文書が持つ「重み」や「公式性」を意識することが大切です。例えば、「契約書」は、法的な拘束力を持つため、「契約書面」と呼ぶのがより適切と言えるでしょう。
「書類」と「書面」の使い分け:どんな時にどっち?
では、具体的にどのような場面で「書類」と「書面」を使い分けるのでしょうか。それぞれの言葉が持つニュアンスを理解することで、より自然な日本語表現が可能になります。
まず、「書類」は、先ほども説明したように、非常に広範な意味で使われます。例えば、友人から送られてきた手紙も「書類」と呼べますし、お店のポイントカードの申込用紙なども「書類」です。日常的なやり取りや、情報共有の文脈でよく使われます。
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「この資料、どこかの書類入れに入れたかな?」
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「新しいプロジェクトの企画書という書類を作成しました。」
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「図書館で借りた本の返却期限の書類が届きました。」
一方、「書面」は、よりフォーマルな場面や、法的な意味合いが強い場合に用いられます。例えば、役所に提出する申請書や、裁判所への提出物などは、「書面」と呼ぶのが一般的です。
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「この件については、書面にてご回答いたします。」
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「法廷での証言は、書面によって裏付けられました。」
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「退職届は、書面で提出する必要があります。」
つまり、「書面」は「書類」の一種ですが、その中でも特に「公的」「法的」「正式」といった要素が強調される場合に選ばれる言葉と言えるでしょう。
「書類」の多様な側面:記録から指示まで
「書類」という言葉は、その内容や用途によって、さらに細かく分類することができます。ここでは、「書類」が持つ様々な側面を見ていきましょう。
まず、**「記録」としての書類**です。これは、過去の出来事や事実を後世に伝えるために作成されるものです。例えば、日記、報告書、議事録などがこれにあたります。
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「過去の会議の議事録という書類を確認したい。」
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「事件の経緯を記録した書類が発見された。」
次に、**「情報提供」のための書類**です。これは、特定の情報や知識を、多くの人に伝えることを目的としています。説明書、マニュアル、パンフレットなどが例として挙げられます。
| 情報提供書類 |
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そして、**「指示」や「依頼」の書類**です。これは、誰かに行動を促したり、特定の作業を依頼したりする目的で作成されます。指示書、依頼状、注文書などが該当します。
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「上司から、この件に関する指示書という書類を受け取りました。」
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「急ぎでこの作業をお願いしたいという依頼状が届きました。」
このように、「書類」は、その目的や内容によって、実に多様な役割を果たしているのです。
「書面」の厳格な世界:法的効力と正式性
「書面」という言葉が使われる場面は、しばしば「法的」「公的」「正式」といったキーワードと結びつきます。その厳格な世界を覗いてみましょう。
まず、**「法的効力」を持つ書面**です。これは、法律上の権利や義務を発生させたり、証明したりするために作成されます。代表的な例は、契約書や遺言書です。
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「この契約書面は、両者の合意を法的に証明するものです。」
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「遺言書を法的に有効な書面として作成するには、専門家の助けが必要です。」
次に、**「公的な手続き」で用いられる書面**です。役所への申請や届出、裁判所への提出物などがこれにあたります。例えば、住民票の写しや、訴状などです。
| 公的手続きの書面 |
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さらに、**「意思表示」を明確にするための書面**もあります。これは、自分の意思をはっきりと相手に伝え、後々の誤解を防ぐために用いられます。例えば、抗議文や、辞退届などです。
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「この問題について、当方の立場を明確にするための書面を作成しました。」
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「催促状という書面が届きましたが、すでに支払いは済んでいます。」
「書面」という言葉を聞いたときは、それが単なるメモ書きではなく、何らかの重要な意味合いを持っている可能性が高いと認識しておくと良いでしょう。
「書類」と「書面」の微妙なニュアンス:使い分けで印象が変わる
同じような意味で使われることもありますが、「書類」と「書面」を使い分けることで、相手に与える印象も変わってきます。
例えば、日常的な会話で「この資料、どこかに置いた?」と聞く代わりに「この書類、どこかに置いた?」と言うと、少し事務的な響きになります。しかし、「この書面、どこかに置いた?」と言うと、それはもうかなりフォーマルで、法的な文書を指しているような響きになり、不自然に聞こえるでしょう。
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「昨日、会社から配布された書類(〇)をなくしてしまいました。」
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「昨日、会社から配布された書面(△)をなくしてしまいました。」
この場合、多くは「書類」で問題ありません。「書面」と言うと、何か特別な意味合いを持つ文書のように聞こえてしまいます。
一方で、ビジネスシーンで「この件について、口頭ではなく書面でやり取りしたい」と言うと、「正式な形で、記録に残るように話を進めたい」という意思が伝わります。もしここで「書類でやり取りしたい」と言うと、もう少し軽いニュアンスになるかもしれません。
| 「書類」を使う場合 |
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| 「書面」を使う場合 |
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このように、言葉の選択一つで、その文書の持つ「重み」や「重要度」が相手に伝わるのです。
「書類」と「書面」を混同しやすい例と、正しい理解
日常生活や、テレビ、ニュースなどで、「書類」と「書面」が混同して使われている例は少なくありません。ここでは、よくある例を挙げながら、正しい理解を深めていきましょう。
例えば、「契約書類」という言葉はよく耳にしますが、これは「契約書面」と言い換えることもできます。しかし、より法律的な側面を強調したい場合は「契約書面」の方が適切かもしれません。
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「この契約書類にサインをお願いします。」(一般的で自然)
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「この契約書面にサインをお願いします。」(よりフォーマルで、法的効力を意識させる)
また、「提出書類」という言葉もよく使われます。これは、役所への申請書類なども含みますが、大学への入学願書や、会社への履歴書なども「提出書類」と呼べます。これらの多くは「書類」で問題ありません。
しかし、もし「裁判所に提出する訴状」を単に「提出書類」と呼んでしまうと、その文書の持つ重要性や性質が伝わりにくくなる可能性があります。この場合は、「訴状」という具体的な名称、あるいは「書面」という言葉を使う方が、より正確でしょう。
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「必要な提出書類をすべて集めました。」(一般的な状況でOK)
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「裁判所に提出する訴状という書面を準備しました。」(より正確で、文書の性質を表現)
このように、文脈や伝えたいニュアンスによって、より適切な言葉を選ぶことが大切です。
まとめ:迷ったら「書類」、特別な意味合いなら「書面」
これまで、「書類」と「書面」の「書類 と 書面 の 違い」について詳しく見てきました。どちらも「書かれたもの」ですが、その目的や性質、そして使われる場面によって、そのニュアンスは大きく異なります。
もし、どちらの言葉を使えば良いか迷ったときは、まず「書類」という言葉を使ってみると良いでしょう。「書類」は非常に広範な意味で使えるため、多くの場面で間違いがありません。ただし、その文書が法的な効力を持っていたり、非常にフォーマルなやり取りであったりする場合は、「書面」という言葉を選ぶことで、より正確に、そして相手にその重要性を伝えることができます。
この違いを意識することで、日本語の表現がより豊かになり、コミュニケーションもスムーズになるはずです。ぜひ、日頃から意識して使ってみてください。