日本語の「当該(とうがい)」と「該当(がいとう)」は、どちらも「〜にあたる」という意味合いで使われがちですが、実はニュアンスが異なります。この二つの言葉の微妙な違いを、具体的な例を交えながら分かりやすく解説し、「当該」と「該当」の違いをスッキリ理解できるようになることを目指しましょう。

「当該」が指し示す「まさにそれ!」の具体性

「当該」は、文脈の中で「まさにそのもの」を指し示すときに使われます。つまり、すでに特定されている、または明確に絞り込まれている対象に対して使われることが多いのです。例えば、「当該案件について、詳細な報告書を作成しました。」と言った場合、どの案件か具体的に決まっていて、その「まさにその案件」について話していることが分かります。 この「具体性」が、「当該」を使う上での重要なポイントです。

「当該」が使われる場面は、以下のようなものがあります。

  • 契約書や法律文書:特定の条項や契約内容を指す場合
  • ビジネス文書:特定のプロジェクトや商品、顧客などを指す場合
  • 学術論文:特定の研究対象や理論を指す場合

逆に、「当該」が使えないのは、まだ対象がぼんやりしていたり、これから絞り込もうとしている段階だったりする場合です。例えば、「(まだ決まっていない)いくつかの候補の中から、該当するものを探してください。」というような状況で「当該するものを探してください。」と言うと、少し違和感があります。

「当該」のイメージ 「まさにこれ!」と特定されている
使用例 当該資料の提出は、〇日までに願います。

「該当」が持つ「当てはまる」という広がり

一方、「該当」は、ある基準や条件に「当てはまる」ことを示します。これは、「当該」のように「まさにそれ!」と一点を指し示すというよりは、いくつかの候補の中から、条件に合うものを探す、あるいは条件に合うものが複数ある場合にも使われることがあります。例えば、「この条件に該当する方は、挙手をお願いします。」と言った場合、条件に合う人が複数いる可能性も考えられます。

「該当」の使い方の特徴をいくつか見てみましょう。

  1. 条件や基準との合致を重視する
  2. 対象が一つとは限らない
  3. 「〜に当てはまる」「〜に合致する」と言い換えられることが多い

「該当」は、以下のような場面でよく使われます。

  • 応募条件や資格:「この資格に該当する方は、優遇します。」
  • アンケートや調査:「ご意見に該当する項目はありますか?」
  • 問題解決:「原因に該当する可能性のあるものをリストアップしてください。」

「当該」と「該当」の使い分け:具体例でマスター!

ここからは、より具体的な例を通して、「当該」と「該当」の使い分けをマスターしていきましょう。

例えば、あなたが会社の経理担当者で、ある領収書について確認しているとします。

  • もし、その領収書が「〇月〇日に発行された、△△商店の領収書」と、すでに具体的に特定できているのであれば、「 当該領収書 について、経費精算の処理を進めてください。」と言うのが自然です。
  • 一方、経費精算のルールを確認していて、「交際費に該当する項目はどれですか?」と、ルールに当てはまるものを探している場合は、「 該当する項目 を教えてください。」となります。

このように、「当該」は「これ!」と特定されたもの、「該当」は「条件に合うもの」という違いを意識すると、使い分けがしやすくなります。

「当該」の「特定」と「該当」の「合致」:核心を掴む!

「当該」の核心は、「特定」することにあります。それは、文脈によって「これだ!」と明確に絞り込める対象を指す言葉です。

例えば、

  • 当該 社員の勤務状況について、詳細な調査が行われています。」
  • 当該 地域では、インフルエンザの流行が報告されています。」

といった場合、どの社員か、どの地域か、文脈から特定できることが前提となります。

対して「該当」は、「合致」することを表します。つまり、ある基準や条件にぴったり当てはまるかどうか、という点に焦点が当たります。

例えば、

  • 「このキャンペーンは、 該当者 にのみ適用されます。」
  • 「これらの条件に 該当する 人材を募集しています。」

という場合、条件に合う人を広く探している、あるいは条件に合う人が複数いる可能性を含んでいます。

「当該」 「該当」
特定されている 条件に合致する
「まさにこれ」 「〜に当てはまる」

「当該」は「その」「そのもの」に近い!

「当該」は、しばしば「その」「そのもの」といった指示語に近い感覚で使われます。

具体的には、

  • 当該 (その)契約内容について、再度確認が必要です。」
  • 当該 (そのもの)は、一般には公開されていません。」

のように、すでに話の流れで明確になっている対象を指し示す際に、より正確に、そしてフォーマルに表現するために用いられます。

「当該」を使うことで、「今、まさに話している、あるいは話題になっている、あのことね」というニュアンスが伝わりやすくなります。これは、特にビジネスシーンや公的な文書で、誤解を避けるために非常に有効な表現と言えるでしょう。

「該当」は「条件」で選ぶ!

「該当」は、あくまで「条件」や「基準」に当てはまるかどうか、という視点で使われます。

例えば、

  • 「あなたの年齢は、この割引の 該当条件 該当しますか ?」
  • 「こちらのアンケートで、ご自身の状況に 該当する ものにチェックを入れてください。」

といったように、「何かに当てはまるか?」という判断基準が明確な場合に用いられます。

「該当」は、対象が一つに絞られることもあれば、複数になることもあり得ます。大切なのは、「この条件を満たしているかどうか」という点です。

「当該」と「該当」の決定的な違い:どっちが「固有名詞」的?

「当該」と「該当」の決定的な違いを、少し面白い視点から考えてみましょう。それは、「どちらがより『固有名詞』に近いか?」ということです。

「当該」は、文脈の中で「この〇〇」というように、まるで固有名詞のように、具体的に特定されたものを指し示す傾向があります。例えば、「〇〇社の △△部長」のように、名前で特定するようなイメージです。

一方、「該当」は、「条件に合うもの」という、より一般的なカテゴリーやグループに属するかどうか、という判断に使われます。例えば、「〇〇賞の受賞者」のように、条件を満たした人たち、というイメージです。

この「固有名詞的か、一般的か」という感覚で捉えると、「当該」は「まさにこれ!」と指し示す限定的なニュアンス、「該当」は「条件に合うもの」という、より広い意味合いを持つことが理解しやすくなるでしょう。

まとめ:もう「当該」と「該当」で迷わない!

「当該」と「該当」の違い、いかがでしたか? 「当該」は「まさにそのもの!」と特定されたものを指し、「該当」は「条件に当てはまるもの」を指す、という違いをしっかり掴むことが大切です。これらの違いを意識して、自信を持って日本語を使いこなしてくださいね!

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