「厚生年金」と「厚生年金基金」、名前が似ていて混同しやすいですよね。でも、この二つには明確な違いがあります。 この違いを理解することは、将来の年金受給額や資産形成を考える上で非常に重要です。 そこで今回は、厚生年金と厚生年金基金の違いについて、分かりやすく解説していきます。

厚生年金と厚生年金基金の根本的な違い

まず、一番大きな違いは、これらが「公的な年金制度」なのか「私的な年金制度」なのかという点です。厚生年金は国が運営する公的な年金制度であるのに対し、厚生年金基金は企業などが独自に設立できる、より「上乗せ」の年金制度という位置づけになります。

厚生年金は、原則としてすべての会社員や公務員が加入する「国民皆年金」制度の一部です。将来、老齢になったときの生活を支えるための基本的な年金として、誰もが将来受け取れるものです。

一方、厚生年金基金は、企業が従業員の福利厚生として、厚生年金に上乗せする形で任意で加入できる制度でした。しかし、2014年の年金制度改正により、新規に設立されることはなくなりました。現在、すでに設立されている厚生年金基金は、その多くが「企業年金連合会」などに移行しています。

厚生年金とは? 基本をしっかり理解しよう

公的年金の土台、厚生年金の役割

厚生年金は、日本における社会保障制度の柱の一つです。老齢になったときだけでなく、万が一の病気やケガで働けなくなったとき(障害)、または亡くなったときに、本人や家族の生活を保障する役割も担っています。

厚生年金には、加入期間や保険料の納付額に応じて、将来受け取れる年金額が変わるという特徴があります。具体的には、以下の要素が年金額に影響します。

  • 加入期間:長く加入しているほど、年金額は増えます。
  • 保険料の額:給料が高いほど、納める保険料も高くなり、将来の年金額も増えます。
  • 物価や賃金の変動:年金額は、物価や賃金の変動に合わせて調整されることがあります。

厚生年金の保険料は、加入者と会社が半分ずつ負担するのが原則です。これにより、従業員は負担を抑えつつ、手厚い保障を受けることができます。この会社との折半負担は、公的年金制度の大きな特徴の一つと言えるでしょう。

厚生年金基金とは? かつての「上乗せ」制度

企業が独自に設ける「プラスアルファ」

厚生年金基金は、企業が従業員のために、厚生年金に上乗せする形で提供していた年金制度です。これは、企業が自社の従業員の老後の生活をより豊かにするために、自主的に設けていたものなのです。

厚生年金基金の大きな特徴は、その運用方法にありました。基金は、加入者から集めた保険料を、専門家が株式や債券などで運用していました。この運用がうまくいけば、厚生年金だけでは受け取れない、より多くの年金を受け取れる可能性があったのです。

しかし、前述の通り、2014年の年金制度改正により、新規の厚生年金基金の設立は廃止されました。これは、制度の複雑さや、運用リスクなどを考慮した結果です。現在では、既存の厚生年金基金の多くは、その役割を企業年金連合会などに移管しています。

両者の違いを比較してみよう!

制度の主体と目的の違い

厚生年金と厚生年金基金の最も根本的な違いは、その「主体」と「目的」にあります。

項目 厚生年金 厚生年金基金
主体 国(公的年金制度) 企業(私的年金制度)
目的 国民全体の老齢・障害・遺族への基礎的な保障 企業従業員の厚生年金への上乗せ給付

このように、厚生年金は国民全体のセーフティネットとしての役割が強く、厚生年金基金は、企業が従業員のために設ける、より手厚い保障を提供する制度でした。

加入対象と義務の違い

厚生年金は、原則としてすべての会社員や公務員が「加入義務」のある制度です。つまり、働くことになれば、自動的に加入することになります。

一方、厚生年金基金は、企業が「任意」で設立し、従業員も「任意」で加入する制度でした。そのため、すべての人が加入していたわけではありません。

給付内容と運用方法の違い

給付内容についても、両者には違いがあります。厚生年金は、国が定める計算式に基づいて年金額が決まります。加入期間や保険料の額などが考慮されます。

対して、厚生年金基金は、企業が独自に定めた給付設計に基づいて、上乗せの年金が支給されました。また、基金の資産運用によって、将来の給付額が変わる可能性がありました。運用がうまくいけば、より多くの年金が期待できましたが、逆に運用がうまくいかなかった場合は、給付額が減るリスクも存在しました。

現在の状況と今後の見通し

廃止と移行

2014年の年金制度改正により、新規の厚生年金基金の設立は廃止されました。これは、公的年金制度の持続可能性を高めるための大きな改革でした。

現在、すでに設立されている厚生年金基金は、その多くが「企業年金連合会」などに移行しています。これは、基金の運営を一本化し、より効率的かつ安定的に年金を給付していくための措置です。

つまり、現在「厚生年金基金」として直接加入するというケースは、ほとんどなくなっていると考えて良いでしょう。

企業型DC(企業型確定拠出年金)への注目

厚生年金基金に代わるものとして、近年注目されているのが「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。これは、企業が掛金を拠出し、従業員が自分で運用方法を選んで将来の年金を形成していく制度です。運用成果が直接年金額に反映されるため、積極的な資産形成を目指すことができます。

まとめ:老後の安心のために、年金制度を正しく理解しましょう

厚生年金と厚生年金基金の違い、少しでも理解が深まったでしょうか?厚生年金は国の基礎となる年金、厚生年金基金はかつて企業が設けていた上乗せの年金。この違いを理解し、ご自身の年金について正しく把握しておくことは、将来の安心につながります。もし、ご自身の年金についてもっと詳しく知りたい場合は、年金事務所や専門家にご相談されることをお勧めします。

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