お腹の調子が悪くなった時、病院に行こうと思っても「内科?外科?」と迷うことがありますよね。特に、消化器系の不調となると、消化器内科と消化器外科、どちらを受診すれば良いのか、 消化器内科と消化器外科の違い をきちんと理解しておくと安心です。今回は、この二つの科の違いについて、わかりやすく解説していきます。

消化器内科と消化器外科、それぞれの役割

まず、消化器内科と消化器外科の最も大きな違いは、病気へのアプローチ方法にあります。消化器内科は、主に薬物療法や内視鏡検査・治療などを中心に、病気の診断と治療を行います。一方、消化器外科は、手術が必要な病気に対して、外科的な処置を専門とする科です。

消化器内科の主な対象疾患:

  • 胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • 過敏性腸症候群
  • 肝炎、肝硬変、脂肪肝
  • 胆石症、胆のう炎
  • 膵炎

消化器外科の主な対象疾患:

  1. 胃がん、大腸がん、食道がんなど消化器のがん
  2. 虫垂炎(盲腸)
  3. ヘルニア
  4. 胆石症、胆のう炎(手術が必要な場合)
  5. 腸閉塞

このように、内科では薬や生活習慣の改善で対応できる病気を、外科では手術で治す必要がある病気を主に扱います。 どちらの科が良いか迷ったときは、まずは内科を受診し、必要であれば外科へ紹介してもらうのが一般的です。

診断方法の違い

消化器内科と消化器外科では、病気を診断するためのアプローチにも違いが見られます。

消化器内科では、問診や触診に加え、以下のような検査を積極的に行います。

  • 内視鏡検査: 食道、胃、十二指腸、大腸などを直接観察し、病変の有無や状態を確認します。
  • 腹部エコー検査: 超音波を使って、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓などの臓器の状態を調べます。
  • 血液検査・便検査: 炎症の有無や特定の病気のマーカーなどを調べます。

一方、消化器外科でも内視鏡検査や腹部エコー検査は行いますが、手術の計画や術前の評価のために、より詳細な画像検査が重要になります。

検査名 消化器内科での主な目的 消化器外科での主な目的
CT検査 炎症の広がりや腫瘍の有無の確認 腫瘍の進行度、周囲臓器への浸潤、手術範囲の決定
MRI検査 肝臓や膵臓などの軟部組織の詳細な評価 腫瘍の広がり、血管や神経への関与の評価

これらの検査結果を総合的に判断し、治療方針が決定されます。

治療法のアプローチ

病気に対する治療法も、消化器内科と消化器外科では大きく異なります。

消化器内科では、薬による治療が中心となります。例えば、胃酸を抑える薬で胃潰瘍を治療したり、炎症を抑える薬で肝炎を治療したりします。

  • 薬物療法: 症状を和らげたり、病気の進行を抑えたりする薬を使います。
  • 内視鏡的治療: ポリープを切除したり、出血を止めたりするなど、内視鏡を使った低侵襲な治療もあります。
  • 生活指導: 食事や運動など、生活習慣の改善指導も重要な治療の一環です。

消化器外科では、手術による治療が中心となります。がんや重度の炎症、閉塞など、薬だけでは治せない病気に対して、メスを使って病変を取り除いたり、修復したりします。

  1. 開腹手術: お腹を大きく開いて行う手術。
  2. 腹腔鏡手術: 小さな傷口からカメラや手術器具を入れて行う手術。
  3. ロボット支援手術: ロボットアームを操作して行う精密な手術。

手術の規模や難易度によって、様々な術式が選択されます。 手術の技術と経験が、患者さんの回復に大きく影響します。

内視鏡検査・治療の専門性

消化器内科と消化器外科、どちらの科でも内視鏡検査は行われますが、その専門性や目的には違いがあります。

消化器内科医は、内視鏡を使って食道、胃、十二指腸、大腸の内部を詳細に観察し、病変を早期に発見することに長けています。

  • 診断: 病変の有無、大きさ、性状などを正確に診断します。
  • 生検: 病変の一部を採取し、組織検査でがんなどの悪性度を調べます。
  • 内視鏡的治療: ポリープ切除、早期がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などを行います。

一方、消化器外科医も内視鏡検査を行いますが、内視鏡での治療は、手術の前処置や、手術後に合併症がないかを確認する目的で行われることもあります。

内視鏡検査・治療 消化器内科医の主な関わり 消化器外科医の主な関わり
診断・スクリーニング ◎ 専門的に行う 〇 診断の一環として行う
ポリープ切除 ◎ 積極的に行う 〇 状況によっては行う
早期がんのESD ◎ 専門的に行う △ 連携して行う場合がある
手術前後の評価 〇 状態把握のために行う ◎ 必須

内視鏡による「治す」治療は、消化器内科医が担う部分が大きいと言えるでしょう。

がん治療における連携

消化器がんの治療は、消化器内科と消化器外科が密接に連携して行われることがほとんどです。

まず、消化器内科医が内視鏡検査などでがんを早期に発見し、病状を診断します。その後、がんの進行度や場所に応じて、手術を担当する消化器外科医や、抗がん剤治療を担当する腫瘍内科医など、各分野の専門家が集まって治療方針を決定します。

  • 初期段階のがん: 内視鏡で切除できる場合は、消化器内科医が治療を担当することがあります。
  • 進行したがん: 手術が必要と判断された場合は、消化器外科医が手術を行います。
  • 再発や転移の治療: 抗がん剤や放射線治療など、薬物療法が中心となり、消化器内科医や腫瘍内科医が担当します。

このように、 がん治療においては、それぞれの専門性を活かしながら、チームで患者さんをサポートしていくことが重要です。

緊急時の対応

急な腹痛や嘔吐、吐血、血便など、緊急性の高い症状が出た場合、どちらの科を受診すべきか判断に迷うことがあります。

一般的に、消化器系の緊急疾患としては、急性虫垂炎、急性膵炎、消化管出血、腸閉塞などがあり、これらの病気は緊急手術が必要になることがあります。そのため、 緊急性の高い症状の場合は、まずは消化器外科への受診が優先されることが多いです。

  1. 症状の重さ: 激しい腹痛、高熱、意識が朦朧とするなどの症状は、緊急性が高いと考えられます。
  2. 出血の有無: 吐血やタール便(黒い便)は、消化管からの出血が疑われ、迅速な対応が必要です。
  3. 専門外来の有無: 大学病院などでは、消化器外科が24時間体制で救急対応を行っている場合があります。

ただし、病状によっては消化器内科で初期対応を行い、その後、必要に応じて外科へ紹介するという流れになることもあります。迷った場合は、まずはかかりつけ医や救急相談窓口に電話で相談するのが良いでしょう。

消化器内科と消化器外科の違いについて、ご理解いただけましたでしょうか。どちらの科も、私たちのお腹の健康を守るために大切な役割を担っています。ご自身の症状に合わせて、適切な科を受診するように心がけましょう。

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