「卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の 違い」について、正しく理解しておくことは、女性の健康を守る上でとても大切です。一見似ているように聞こえますが、この二つには明確な違いがあり、その性質や治療法も異なります。この記事では、この二つの違いを分かりやすく解説していきます。
卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の本質的な違い
まず、卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の最も大きな違いは、その「でき方」と「性質」にあります。卵巣 嚢腫 は、卵巣の中に液体や半固形状のものが溜まってできる袋状のものです。多くの場合、良性で、機能性のもの(生理周期に伴ってできるもの)と、そうでないものがあります。一方、卵巣 腫瘍 は、卵巣の細胞が異常に増殖してできる「かたまり」を指します。この「かたまり」には、良性のものと悪性のもの(がん)の両方が含まれます。
この違いを理解することは、早期発見と適切な治療につながるため、非常に重要です。 卵巣 嚢腫 の多くは、自然に消えたり、簡単な治療で治ったりしますが、卵巣 腫瘍 の場合は、その種類や進行度によって、より専門的な治療が必要になることがあります。例えば、卵巣 嚢腫 の中には、生理が終わると自然に小さくなる「機能性嚢胞」と呼ばれるものがあり、これは病気というよりは、一時的な体の変化と捉えられます。
卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の違いをまとめた表をご覧ください。
| 項目 | 卵巣 嚢腫 | 卵巣 腫瘍 |
|---|---|---|
| でき方 | 液体や半固形状のものが溜まる | 細胞が異常に増殖する |
| 性質 | 良性が多い(機能性のものも含む) | 良性・悪性(がん)の両方がある |
卵巣 嚢腫 の種類と特徴
卵巣 嚢腫 は、その原因やでき方によっていくつかの種類に分けられます。最も一般的なのは、「機能性嚢胞」です。これは、排卵の過程でできる「卵胞嚢腫」と、排卵後にできる「黄体嚢胞」の二つに分けられます。これらは生理周期と密接に関わっており、多くは数ヶ月で自然に消滅します。しかし、大きくなったり、破裂したりすると、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。
機能性嚢胞以外にも、「チョコレート嚢腫」や「皮様嚢腫」といった、病的な卵巣 嚢腫 があります。チョコレート嚢腫は、子宮内膜症が卵巣にできて、古い血液が溜まったものです。皮様嚢腫は、胎児がお腹の中で作られる際に、卵巣に取り残された組織(毛や歯など)からできるもので、これも良性であることがほとんどです。
卵巣 嚢腫 の主な種類は以下の通りです。
- 機能性嚢胞(卵胞嚢腫、黄体嚢腫)
- チョコレート嚢腫
- 皮様嚢腫
これらの嚢腫は、定期的な検診で発見されることが多いです。ほとんどは良性ですが、大きくなったり、症状が出たりする場合は、医師の判断で治療が必要になることもあります。
卵巣 腫瘍 の多様性と注意点
卵巣 腫瘍 は、その細胞の種類によって、さらに細かく分類されます。大きく分けると、「上皮性腫瘍」、「性索間質腫瘍」、「胚細胞腫瘍」などがあります。上皮性腫瘍は、卵巣の表面を覆う細胞から発生するもので、最も一般的なタイプです。その中でも、「漿液性嚢胞腺腫」や「粘液性嚢胞腺腫」といった良性のものと、「卵巣がん」という悪性のものに分けられます。
卵巣 腫瘍 の特徴として、初期には自覚症状がほとんどないことが多い点が挙げられます。そのため、発見が遅れると、すでに進行している場合もあります。症状が出たときには、お腹の張り、腰痛、頻尿、便秘、食欲不振など、風邪のような症状と間違えやすいものも少なくありません。 だからこそ、定期的な婦人科検診が非常に大切なのです。
卵巣 腫瘍 の分類について、簡単にまとめます。
- 上皮性腫瘍:良性(例:漿液性嚢胞腺腫)と悪性(例:卵巣がん)がある。
- 性索間質腫瘍:ホルモンを分泌する細胞から発生するもの。
- 胚細胞腫瘍:卵子の元となる細胞から発生するもの。
これらの腫瘍は、発生する場所や性質によって、治療法が大きく異なります。良性の腫瘍は、手術で摘出すれば完治することが多いですが、悪性の場合は、手術だけでなく、化学療法や放射線療法などを組み合わせた治療が必要になることもあります。
症状から見る卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の違い
卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の両方に共通する症状もありますが、その現れ方や進行度によって、ある程度の違いが見られることがあります。例えば、小さな卵巣 嚢腫 は、ほとんど症状がないことが多いです。しかし、大きくなると、お腹の圧迫感や違和感、腰痛などを感じることがあります。また、嚢腫がねじれたり(茎捻転)、破裂したりすると、突然の激しい腹痛を引き起こすことがあります。
一方、卵巣 腫瘍 の場合、特に悪性(がん)の場合は、徐々に進行していく傾向があります。初期には無症状であることが多いですが、腫瘍が大きくなるにつれて、以下のような症状が現れることがあります。
- お腹の張り、膨満感
- 食欲不振、早期満腹感
- 体重減少
- 下腹部や腰の鈍痛
- 便秘や下痢などの便通異常
- 頻尿
これらの症状は、単独で現れることもあれば、いくつか組み合わさって現れることもあります。 大切なのは、これらの症状が続いたり、気になる場合は、自己判断せずにすぐに婦人科を受診することです。
検査方法による違い
卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の診断には、いくつかの検査方法が用いられますが、検査結果から推測される可能性のある病変の種類に違いが出てきます。まず、内診や超音波検査は、どちらの病変の有無や大きさを調べるために行われます。超音波検査では、嚢腫が液体で満たされているか、それとも固体成分が多いか、内部に仕切りがあるかなどを確認します。
より詳しい情報を得るために、MRI検査やCT検査が行われることもあります。これらの画像検査では、病変の形状、大きさ、周囲への広がりなどを詳細に評価し、良性か悪性かの可能性を判断するのに役立ちます。また、腫瘍マーカーと呼ばれる血液検査も、卵巣 腫瘍 の診断や治療効果の判定に用いられることがあります。ただし、腫瘍マーカーの値だけで病変の種類を断定することはできません。
検査方法とその役割をまとめると以下のようになります。
- 超音波検査:病変の有無、大きさ、形状、内容物(液体か固体か)を確認。
- MRI/CT検査:病変の詳細な形状、周囲への広がり、転移の有無などを評価。
- 腫瘍マーカー検査:悪性腫瘍の可能性を示唆する場合がありますが、確定診断ではありません。
これらの検査結果を総合的に判断し、病変が卵巣 嚢腫 なのか、それとも卵巣 腫瘍 なのか、そして悪性の可能性はあるのか、といったことを医師が診断していきます。
治療法における違い
卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の治療法は、その性質、大きさ、症状、そして患者さんの年齢や妊娠希望の有無などによって大きく異なります。卵巣 嚢腫 の場合、先述した機能性嚢胞のように、症状がなく、小さければ、経過観察となることがほとんどです。自然に消退するのを待ったり、ピルなどのホルモン療法で改善を図ることもあります。しかし、大きくて症状がある場合や、破裂・捻転を起こした場合は、手術で摘出することもあります。
一方、卵巣 腫瘍 の治療は、良性か悪性かによって大きく変わります。良性の腫瘍であれば、手術で摘出することが主な治療法となります。開腹手術ではなく、腹腔鏡手術(お腹に小さな穴を開けて行う手術)で対応できる場合も多いです。しかし、悪性(卵巣がん)の場合は、腫瘍の摘出だけでなく、リンパ節の切除や、化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療が必要となります。
治療法の選択肢をまとめると、以下のようになります。
- 卵巣 嚢腫:経過観察、ホルモン療法、手術(摘出)
- 卵巣 腫瘍(良性):手術(摘出)
- 卵巣 腫瘍(悪性):手術(摘出、リンパ節切除)、化学療法、放射線療法
どのような治療法が選択されるかは、個々の病状によって異なりますので、必ず医師とよく相談することが重要です。
まとめ:早期発見・早期治療のために
「卵巣 嚢腫 と 卵巣 腫瘍 の違い」について、ご理解いただけたでしょうか。卵巣 嚢腫 は液体が溜まった袋状のもの、卵巣 腫瘍 は細胞が異常に増殖した「かたまり」であり、腫瘍には良性と悪性(がん)があるという点が、最も大きな違いです。どちらも、初期には自覚症状が少ないことがあるため、定期的な婦人科検診が、早期発見・早期治療への第一歩となります。もし、お腹の張りや痛みなど、気になる症状がある場合は、迷わず婦人科を受診しましょう。