「強盗」と「窃盗」、どちらも人の物を勝手に取る行為ですが、実は法律上、そしてその罪の重さにおいて大きな違いがあります。 この「強盗 と 窃盗 の 違い」を正しく理解することは、自分自身や周りの人を守るためにも非常に重要です。
一番の違いは「暴行・脅迫」の有無
「強盗」と「窃盗」の最も大きな違いは、相手に「暴行(乱暴な行為)」を加えたり、「脅迫(こわがらせること)」したりしたかどうかという点にあります。窃盗は、相手に気づかれずにこっそりと物を盗む行為を指しますが、強盗は、相手を力で押さえつけたり、「殺すぞ!」などと脅したりして、無理やり物を奪い取る行為です。この「暴行・脅迫」があるかないかで、罪の重さが全く変わってくるのです。
- 窃盗 :相手の意思に反して、無断で財物を取得する行為。
- 強盗 :暴行または脅迫を用いて、財物の占有を放棄させ、それを奪う行為。
例えば、お店でこっそり商品をポケットに入れて持ち出すのは「万引き」という窃盗になります。しかし、もしお店の店員さんに「盗っているところを見られた!」となって、店員さんを突き飛ばして逃げた場合は、それは「強盗」になってしまうのです。この「突き飛ばす」という行為が暴行にあたるためです。
| 行為 | 罪名 |
|---|---|
| こっそり財布を盗む | 窃盗 |
| 「金を出せ!」と脅してお金を奪う | 強盗 |
つまり、 強盗は、単に物を奪うだけでなく、相手の心と体に恐怖や傷を与える行為なのです。 そのため、法律でもより重い罪として扱われています。
具体的な「強盗」のケースを見てみよう
強盗と一口に言っても、その手口は様々です。ここでは、もう少し具体的な「強盗」のケースをいくつか見ていきましょう。
- 住居侵入強盗 :夜中に人の家に忍び込み、住人に気づかれた際に暴行・脅迫をして金品を奪うケース。これは、家に侵入した時点で「住居侵入罪」も加わり、さらに罪が重くなります。
- 路上強盗 :街中などで、通行人に対して「財布を渡せ!」と脅したり、殴りつけたりして金品を奪うケース。
- コンビニ強盗 :コンビニエンスストアの店員に刃物のようなものを見せつけたり、言葉で脅したりして現金を奪うケース。
これらのケースに共通しているのは、相手が抵抗できないように、あるいは抵抗する意思を失わせるように、暴力や言葉で追い詰めている点です。
強盗の恐ろしいところは、被害者が精神的なショックを受けるだけでなく、身体的な危険にさらされる可能性も高いことです。
「窃盗」の種類と注意点
一方、「窃盗」にもいくつか種類があります。それぞれ、どのような状況で成立するかを知っておくと、うっかり犯罪を犯してしまわないよう注意できます。
- 万引き :お店の商品を店員に気づかれずに持ち出す行為。
- 置き引き :電車やレストランなどで、人が一時的に目を離した隙に、その持ち物を盗む行為。
- ひったくり :自転車や徒歩で移動中に、通行人のバッグなどをひったくる行為。これは、相手の抵抗を受ける前に素早く奪うため、窃盗になりますが、もし相手が転倒するなどして怪我を負った場合は「強盗致傷罪」など、さらに重い罪になることもあります。
窃盗は、相手を怖がらせる意図がなくても成立します。 例えば、友達の家で、頼んでもいないのに勝手にゲーム機をポケットに入れて持ち帰ってしまうのも、窃盗にあたります。たとえ相手が友達であっても、無断で物を取ることは許されないのです。
また、 「借りたまま返さない」という行為も、状況によっては窃盗とみなされることがあります。 例えば、友人に貸した本を、返してもらう約束の日を過ぎても返してもらえず、しびれを切らして勝手に友人の部屋からその本を持ってきてしまった場合などが考えられます。
「未遂」と「既遂」の違い
犯罪には、「未遂」と「既遂」という考え方があります。これは、強盗や窃盗にも当てはまります。
「既遂」とは、犯罪が完全に成立した状態 を指します。例えば、強盗であれば、暴行・脅迫を行い、金品を奪い終えた状態が既遂です。窃盗であれば、他人の物を自分の支配下に移した状態が既遂です。
一方、 「未遂」とは、犯罪をしようとしたけれど、途中でうまくいかなかった状態 です。例えば、強盗をしようとナイフを持ってコンビニに忍び込んだものの、店員さんの叫び声を聞いて怖くなり、何も奪わずに逃げ帰ってしまった場合、これは強盗未遂となります。窃盗であれば、財布を盗もうとして手を伸ばしたものの、相手に気づかれてしまい、結局盗めなかった場合などが窃盗未遂にあたります。
「未遂」であっても、罰せられることがあります。 これは、犯罪をしようという強い意思があったことを重視するためです。たとえ物を奪えなくても、犯罪の準備をしていたり、実行に移そうとしていたりするだけで、罪に問われる可能性があるのです。
「占有離脱物横領罪」との違い
「占有離脱物横領罪(せんゆうりだつぶつおうりょうざい)」という罪名を聞いたことがあるでしょうか?これも、窃盗と混同されやすい犯罪です。
「占有離脱物横領罪」は、他人の物を、その占有者(持っている人)から離れてしまった後に、自分のものにしてしまう罪 です。例えば、道に落ちていた財布を拾って、そのまま自分のものにしてしまった場合などがこれにあたります。
窃盗との違いは、「占有者」がその物を「占有(持っている)」しているかどうかです。道に落ちている財布は、もはや持ち主の「占有」下にはないと考えられます。一方、電車の座席に置かれていたバッグなどは、まだ持ち主の「占有」下にあるとみなされます。それを無断で持ち去れば、窃盗になります。
「拾ったものを届ける」という義務を怠った場合に成立する罪 、と考えると分かりやすいかもしれません。
「詐欺罪」との違い
「詐欺罪(さぎざい)」も、人を騙してお金や物を手に入れるという点で、窃盗や強盗と似ているように思えるかもしれません。しかし、その手口に大きな違いがあります。
詐欺罪は、「相手を騙す」という「欺罔(ぎもう)」行為によって、相手に「勘違い」させて、自ら進んで財物を渡させる犯罪 です。例えば、「宝くじが当たったので、手数料を払えばあなたにも分け前をあげます」と言って、実際には宝くじなど当たらなかったのに、相手からお金をだまし取る行為は詐欺罪になります。
一方、窃盗は相手の「意思に反して」盗みますし、強盗は相手の「意思に反して」、さらに「暴行・脅迫」を用いて奪います。詐欺は、相手の「誤解」や「勘違い」につけ込んで、相手自身に渡させてしまう点が特徴です。
「相手が自ら渡してしまう」という点が、詐欺罪の大きなポイント なのです。
まとめ:軽い気持ちが大きな罪に
「強盗」と「窃盗」の大きな違いは、相手への「暴行・脅迫」の有無です。この違いは、罪の重さに直結します。また、窃盗にも様々な種類があり、軽い気持ちでやったことが、思わぬ罪につながることもあります。 「ちょっとだけなら大丈夫だろう」「バレないだろう」という甘い考えは捨て、常に人のものを勝手に取らない、という基本的なルールを守ることが大切です。