「商業簿記」と「工業簿記」、どちらも「簿記」という名前がついているけれど、何が違うんだろう? そう思っている人も多いのではないでしょうか。実は、 商業簿記 と 工業 簿記 の 違い は、それぞれがお金の流れを記録する「目的」と「対象」にあります。この違いを理解することで、企業の活動をより深く知ることができるんですよ!
記録する「モノ」と「目的」が違う! 商業簿記と工業簿記の基本
まず、商業簿記から見ていきましょう。商業簿記は、主に商品を仕入れて、それを売ってお金を得る「小売業」や「卸売業」などの企業で使われます。例えば、お店でTシャツを仕入れて、お客さんに売る。この一連のお金の動きを記録するのが商業簿記です。 記録の目的は、会社の財政状態(どれだけお金やモノを持っているか)や経営成績(どれだけ儲かったか)を、外部の人(株主さんや銀行さんなど)に分かりやすく伝えること です。だから、決まったルール(会計基準)に沿って、正確に記録することが大切なのです。
一方、工業簿記は、モノを「作る」会社、つまり製造業で使われます。例えば、自動車を作ったり、お菓子を作ったり。工業簿記では、単に仕入れて売るだけでなく、材料がどうやって製品になり、そのためにいくらかかったのか、といった「原価」を細かく計算することが重要になります。
- 商業簿記のポイント:
- 仕入れ・販売が中心
- 外部への情報開示が主な目的
- 会計基準に沿った正確な記録
工業簿記では、製品を作るためのコストを正確に把握することが、経営判断をする上で非常に役立ちます。どの製品がどれくらい儲かっているのか、もっと効率よく作るにはどうすればいいのか、といったことを考えるための情報を提供してくれるのです。
ここで、両者の違いを簡単に表にまとめてみましょう。
| 項目 | 商業簿記 | 工業簿記 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 小売業、卸売業など | 製造業 |
| 主な記録内容 | 仕入れ、販売、売上、経費 | 材料費、労務費、製造経費、原価計算 |
| 主な目的 | 外部への情報提供 | 内部の経営管理・原価管理 |
対象となる「会社」が違う!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い を考える上で、どちらのタイプの会社で使われるか、という点も重要です。商業簿記は、文字通り「商業」を営む会社、つまり商品を仕入れて、それをそのまま、あるいは少し加工して売る会社で使われます。例えば、スーパーマーケット、アパレルショップ、雑貨屋さんなどがこれにあたります。
これらの会社では、売上や仕入れ、在庫などの金額を正確に記録することが、その会社の経営状態を把握するために不可欠です。
- 商業簿記が活躍する会社例:
- スーパーマーケット
- コンビニエンスストア
- 家電量販店
- アパレルショップ
- 本屋さん
一方、工業簿記は「工業」、つまりモノを製造する会社で活躍します。自動車メーカー、食品メーカー、電機メーカー、製薬会社などが代表的です。これらの会社では、材料を仕入れて、工場で加工して、最終的な製品を作り出します。
製造業では、製品を作るためにどれくらいの材料を使ったか、どれだけの人の手がかかったか、工場の電気代や機械の減価償却費はどれくらいかかったか、といった「原価」を細かく計算する必要があります。この原価計算が、工業簿記の大きな特徴なのです。
「記録する内容」に違いがある!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い は、具体的にどんな内容を記録するのか、という点でもはっきりしています。商業簿記では、主に「仕入」「売上」「経費」といった、会社がお金のやり取りをする際の記録が中心となります。
例えば、
- 商品を100円で仕入れた。
- その商品を200円で売った。
- お店の家賃として50円支払った。
このような、外部との取引に関するお金の動きを記録していきます。最終的には、これらの記録をもとに、その会社がどれだけ儲かったのか、という「利益」を計算します。
工業簿記では、それに加えて「原価」の計算が非常に重要になります。原価とは、製品を作るためにかかった費用のこと。例えば、
- 製品を作るための材料費
- 製品を作るために働いた人のお給料(労務費)
- 工場で使った電気代や機械の費用(製造経費)
これらの費用を、どの製品にいくらかかったのか、というように細かく分けて計算します。この原価計算によって、会社は製品の値段を決めたり、もっと安く作る方法を考えたりすることができるのです。
さらに、工業簿記では「仕損費」や「製造間接費の配賦」といった、商業簿記にはあまり出てこない専門的な計算も行われます。仕損費とは、不良品などによって発生した損失のこと。製造間接費の配賦とは、工場全体の費用を、個々の製品にどうやって割り振るか、ということです。これらの計算によって、より正確な原価を把握しようとするのが工業簿記の特徴と言えます。
「情報を受け取る人」が違う!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い は、誰にその記録した情報を見せるのか、という点でも異なります。商業簿記で作成される財務諸表(決算書)は、主に会社の「外部」の人たちに見せることを目的としています。例えば、
- 株主さん: 会社のオーナーとして、会社がどれだけ儲かっているかを知りたい。
- 銀行さん: 会社にお金を貸すかどうかを判断するために、会社の財政状態を知りたい。
- 取引先さん: 今後取引を続けるかどうかを判断するために、会社の経営状況を知りたい。
これらの外部の人たちは、会社の内部の詳しい事情までは知りえません。そのため、商業簿記では、決められたルール(会計基準)に従って、誰が見ても同じように理解できる、標準化された情報を提供することが求められます。
一方、工業簿記で計算された原価情報などは、主に会社の「内部」の人が、経営判断をするために使います。例えば、
- 社長さん: どの製品をたくさん作り、どれを減らすべきか判断する。
- 工場長さん: 製造コストを削減するために、どこに問題があるかを探す。
- 営業部長さん: 製品の値段をいくらに設定すれば、利益が出るかを考える。
このように、工業簿記の情報は、より具体的な経営目標を達成するために、会社の中で自由に使われることが多いのです。そのため、商業簿記のように厳密なルールに縛られるよりも、経営者のニーズに合わせた柔軟な情報提供が重視される傾向があります。
「計算の焦点」が違う!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い を理解する上で、「何に焦点を当てて計算するか」という点も重要です。商業簿記の主な焦点は、「期間損益計算」です。これは、ある一定期間(例えば1年間)に、会社がどれだけ儲かったのか、あるいは損をしたのかを計算することです。
具体的には、売上から仕入原価や経費を差し引いて、利益を計算します。例えば、
- 1年間の売上:1,000円
- 1年間の仕入原価:500円
- 1年間の経費:300円
この場合、利益は 1,000円 - 500円 - 300円 = 200円 となります。この「期間損益」を把握することが、商業簿記の大きな目的の一つです。
一方、工業簿記では、「原価計算」が計算の最も重要な焦点となります。原価計算とは、製品1つを作るのにいくらかかったのか、というコストを細かく計算することです。例えば、
- ある製品を作るのに、材料費が100円かかった。
- その製品を作るのに、作業員が2時間働いた(時給20円×2時間=40円)。
- 工場全体の電気代などを、その製品に割り当てると、30円かかった。
この場合、この製品の原価は 100円 + 40円 + 30円 = 170円 となります。この原価を正確に把握することで、製品の販売価格をいくらにすれば適正な利益が出るのか、あるいはもっとコストを抑えるためにはどうすれば良いのか、といった経営判断に役立てることができるのです。
「記録の対象」に違いがある!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い は、記録する対象がどこまで広がるか、という点でも見ることができます。商業簿記は、主に会社全体の「外部」との取引、つまり、
- 商品を仕入れる
- 商品を売る
- 経費を払う
- 借金をする(または返す)
といった、会社とお金やモノのやり取りが発生するすべての取引を記録します。
会社が持っている財産(資産)や、会社が負っている借金(負債)、そして会社が儲けたお金(純資産)といった、会社全体の財政状態を把握することが目的です。
一方、工業簿記では、商業簿記の記録対象に加えて、さらに「内部」でのモノの流れ、特に「製造プロセス」におけるお金の流れを記録します。具体的には、
- 材料が倉庫から製造ラインに移動した。
- 作業員が製品を組み立てている。
- 完成した製品が倉庫に保管されている。
といった、会社の中でモノがどのように作られ、それにいくらのお金がかかっているのか、という点に焦点を当てます。つまり、工業簿記は、商業簿記の記録対象に「製造原価」という、さらに詳細な情報が加わったもの、と考えると理解しやすいでしょう。
「専門用語」に違いがある!
商業簿記 と 工業 簿記 の 違い は、使われる専門用語にも現れます。商業簿記でよく使われる言葉としては、「売上高」「売上原価」「仕入」「諸経費」などがあります。これらは、商品の仕入れと販売に関わる基本的な言葉です。
一方、工業簿記には、製造業ならではの専門用語がたくさん登場します。
- 材料費: 製品を作るために使われた材料の費用。
- 労務費: 製品を作るために働いた人の人件費。
- 製造経費: 工場や機械など、製造に関わるその他の費用(電気代、減価償却費など)。
- 仕掛品: 製造途中の製品のこと。
- 完成品: 完成した製品のこと。
- 仕損費: 製造過程で発生した不良品などの損失。
これらの用語は、製品がどのように作られ、いくらのお金がかかっているのかを理解するために不可欠です。例えば、「仕掛品」の価値を計算することは、まだ完成していない製品にどれだけのコストがかかっているのかを知るために重要になります。
また、工業簿記では「部門費計算」や「標準原価計算」といった、より複雑な原価計算の手法も使われます。部門費計算は、工場をいくつかの部門に分けて、それぞれの部門でかかった費用を計算すること。標準原価計算は、あらかじめ「標準」となる原価を設定し、実際の原価と比較することで、コストの変動を管理する手法です。
これらの専門用語や計算手法の違いからも、 商業簿記 と 工業 簿記 の 違い が明確に分かりますね。
さて、ここまで 商業簿記 と 工業 簿記 の 違い について詳しく見てきました。どちらも会社の「お金」を記録するという点では同じですが、その目的や記録する対象、そして使われ方が大きく異なることがお分かりいただけたかと思います。この違いを理解することは、企業の活動をより深く理解するための第一歩となります。ぜひ、今日の学びを活かして、ビジネスの世界をさらに探求してみてください!