「心筋梗塞」と「脳梗塞」、どちらも突然起こる恐ろしい病気として耳にしたことがあるかもしれません。しかし、具体的にどのような違いがあるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、この 心筋梗塞と脳梗塞の違い について、できるだけわかりやすく解説していきます。

「血管が詰まる」という共通点と、狙われる場所の違い

心筋梗塞と脳梗塞の最も大きな違いは、血管が詰まる場所です。どちらも、体に栄養や酸素を送る大切な血管が、血の塊(血栓)などによって詰まってしまうことで起こります。しかし、心筋梗塞はその名の通り「心臓の筋肉」の血管が詰まるのに対し、脳梗塞は「脳」の血管が詰まるという点が異なります。

この場所の違いが、その後の症状に大きく影響します。心臓の血管が詰まると、心臓の筋肉が酸素不足になり、動けなくなってしまいます。一方、脳の血管が詰まると、脳の細胞がダメージを受け、体の動きや感覚、言葉などを司る機能に障害が出ることがあります。 どちらの病気も、一刻を争う緊急事態である ということを忘れてはいけません。

では、具体的にどのような違いがあるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。それぞれの病気について、以下の表でまとめました。

病名 詰まる場所 主な原因
心筋梗塞 心臓の血管 動脈硬化による血管の狭窄、血栓
脳梗塞 脳の血管 動脈硬化による血管の狭窄、血栓、心臓の不整脈からの血栓

心筋梗塞:心臓からのSOS

心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈という血管が詰まる病気です。心臓は常に休まず動いているため、常に多くの酸素と栄養が必要です。冠動脈が詰まってしまうと、心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなり、心臓の機能が低下してしまいます。これが「心筋梗塞」です。

心筋梗塞の主な原因は、動脈硬化です。これは、血管の壁にコレステロールなどがたまって血管が狭くなり、弾力性を失っていく状態を指します。この狭くなった血管に血栓ができると、血管が完全に詰まってしまうのです。

  • 代表的な症状
    • 胸の痛み(締め付けられるような、圧迫されるような痛み)
    • 左肩や左腕への放散痛
    • 冷や汗
    • 吐き気
    • 息切れ

このような症状が現れたら、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。早期に治療を受けることで、心臓へのダメージを最小限に抑えることができます。

脳梗塞:脳への血流がストップ!

脳梗塞は、脳に血液を送っている血管が詰まる病気です。脳の細胞は非常にデリケートで、数分間でも血流が途絶えると、細胞が死んでしまい、その機能が失われてしまいます。脳梗塞が起こると、体の様々な機能に障害が出ることがあります。

脳梗塞の原因も、動脈硬化が大きく関わっています。血管が狭くなり、そこに血栓ができることで詰まってしまう「アテローム血栓性脳梗塞」や、心臓でできた血栓が脳の血管に流れてきて詰まる「心原性脳塞栓症」など、いくつかの種類があります。

脳梗塞の症状は、血管が詰まった場所によって様々ですが、以下のような症状が急に現れた場合は注意が必要です。

  1. 顔の麻痺 :顔の片側が下がったり、ゆがんだりする。
  2. 腕の麻痺 :片方の腕に力が入らなくなり、上がらなくなる。
  3. 言葉のもつれ :うまく話せなくなったり、ろれつが回らなくなったりする。

これらの症状は「FAST」と呼ばれ、脳梗塞のサインとして広く知られています。これらの症状が一つでも現れたら、迷わず救急車を呼んでください。

リスクを高める生活習慣

心筋梗塞も脳梗塞も、生活習慣が大きく関わっています。特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症など)といった生活習慣病は、動脈硬化を進行させる大きな原因となります。

これらの病気がある方は、血管が傷つきやすく、血栓ができやすいため、注意が必要です。また、喫煙も血管に大きなダメージを与え、病気のリスクを高めます。

さらに、肥満や運動不足、偏った食生活も、これらの生活習慣病を招く原因となります。健康的な生活習慣を心がけることが、血管の健康を守る上で非常に重要です。

リスクを高める要因をまとめた表を見てみましょう。

共通のリスク要因 その他(脳梗塞に特に関係)
高血圧 心房細動などの不整脈
糖尿病 飲酒(過度な)
脂質異常症
喫煙
肥満
運動不足
ストレス

早期発見・早期治療が鍵

心筋梗塞も脳梗塞も、早期に発見し、適切な治療を受けることが、命を救い、後遺症を最小限に抑えるための鍵となります。しかし、症状が軽かったり、他の病気と間違えたりして、受診が遅れてしまうケースも少なくありません。

特に、脳梗塞の場合は、血栓を溶かす薬(t-PA)を使える時間が限られているため、発症から数時間以内の治療が非常に重要です。「もしかしたら?」と思ったら、すぐに医療機関を受診することが大切です。

日頃から、自分の体の変化に注意を払い、少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医師に相談しましょう。

予防のためにできること

心筋梗塞と脳梗塞を予防するために、私たちができることはたくさんあります。

  • バランスの取れた食事 :塩分や脂肪分を控えめにし、野菜や魚を多く摂る
  • 適度な運動 :ウォーキングやジョギングなど、無理のない範囲で体を動かす
  • 禁煙 :タバコは血管の大敵です
  • 節酒 :お酒は適量を楽しむ
  • ストレス管理 :リラックスできる時間を作る
  • 定期的な健康診断 :高血圧や糖尿病などの病気を早期に発見する

これらの生活習慣を意識することで、血管の健康を保ち、将来的なリスクを減らすことができます。

まとめ

心筋梗塞と脳梗塞は、どちらも命に関わる重篤な病気ですが、血管が詰まる場所や、それに伴う症状に違いがあります。しかし、どちらも動脈硬化が主な原因であり、生活習慣が大きく影響するという共通点があります。

今回解説した「心筋梗塞と脳梗塞の違い」や、それぞれの病気のサイン、そして予防策を理解することで、自分自身や大切な人の健康を守る一助となれば幸いです。

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