「急性白血病」と「慢性白血病」、どちらも白血病という言葉は聞くけれど、一体何が違うのだろう?そう思っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、 急性白血病と慢性白血病の違い を、病気の進行スピードや特徴、治療法などを中心に、分かりやすく解説していきます。この違いを理解することは、病気への理解を深める第一歩となります。

進行スピードと未熟な細胞の割合:急性白血病と慢性白血病の最大の違い

急性白血病と慢性白血病の最も大きな違いは、病気の進行スピードと、血液細胞のもととなる「幼若細胞(ようじゃくさいぼう)」と呼ばれる未熟な細胞の割合にあります。急性白血病は、この幼若細胞が急速に増殖し、正常な血液細胞が作られにくくなる病気です。そのため、症状が急激に現れ、進行も速いのが特徴です。

一方、慢性白血病は、成熟した(ある程度育った)血液細胞が異常に増え続ける病気です。病気の進行は比較的ゆっくりで、初期には自覚症状がないことも少なくありません。しかし、ゆっくりでも異常な細胞が増え続けることで、徐々に正常な血液細胞が圧迫され、機能が低下していきます。 この進行スピードの違いは、治療方針を決定する上で非常に重要です。

幼若細胞の割合について、具体的に見てみましょう。

  • 急性白血病: 血液検査で、幼若細胞が血液中に20%以上見られる場合に診断されることが多いです。
  • 慢性白血病: 幼若細胞の割合は低く、成熟した異常な細胞が骨髄や血液中に増えていきます。

細胞の種類による違い:急性白血病と慢性白血病

白血病は、どの種類の白血球に異常が起きているかによって、さらに細かく分類されます。急性白血病と慢性白血病でも、この細胞の種類が異なります。

急性白血病は、大きく分けて「急性骨髄性白血病(AML)」と「急性リンパ性白血病(ALL)」の2種類があります。それぞれ、骨髄で作られる細胞(骨髄球系)と、リンパ球になる細胞(リンパ球系)のどちらに異常が起きるかで異なります。

対して、慢性白血病は、「慢性骨髄性白血病(CML)」と「慢性リンパ性白血病(CLL)」があります。こちらも同様に、骨髄球系とリンパ球系のどちらに異常が起きるかで分類されますが、その増え方や病気の性質が急性型とは異なります。

それぞれの分類について、表にまとめました。

病名 主な異常細胞 進行スピード
急性骨髄性白血病 (AML) 未熟な骨髄球系細胞 速い
急性リンパ性白血病 (ALL) 未熟なリンパ球系細胞 速い
慢性骨髄性白血病 (CML) 成熟した骨髄球系細胞 遅い
慢性リンパ性白血病 (CLL) 成熟したリンパ球系細胞 遅い

症状の現れ方:急性白血病と慢性白血病

病気の進行スピードが違うため、症状の現れ方にも違いが見られます。急性白血病は、正常な血液細胞が急激に減少するため、様々な症状が突然、かつ重く現れる傾向があります。

例えば、以下のような症状が急激に現れることがあります。

  1. 発熱: 感染防御が弱まるため、高熱が出やすくなります。
  2. 出血: 血小板が減少するため、鼻血や歯ぐきからの出血、皮下出血などが起こりやすくなります。
  3. 倦怠感・息切れ: 赤血球が減少し、貧血になるため、疲れやすくなったり、動いたときに息切れを感じたりします。
  4. 感染症: 白血球が正常に機能しないため、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下し、重い感染症にかかりやすくなります。

一方、慢性白血病は、病気の進行がゆっくりなため、初期にはほとんど自覚症状がないことも多いです。症状が現れたとしても、急性白血病ほど急激ではなく、徐々に現れてくるのが一般的です。気づいたときには、すでに病状が進んでいることもあります。

慢性白血病でよく見られる症状としては、以下のようなものがあります。

  • 倦怠感: 貧血によるものが多いです。
  • お腹の張りや痛み: 脾臓(ひぞう)や肝臓が腫れてくることがあります。
  • 体重減少: 食欲不振などから起こることがあります。
  • リンパ節の腫れ: 首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れることがあります。

症状の現れ方の違いを把握しておくことは、早期発見につながる可能性があります。

診断方法:急性白血病と慢性白血病

急性白血病と慢性白血病の診断は、どちらも血液検査と骨髄検査が中心となります。しかし、検査で確認される異常な細胞の種類や割合に違いがあります。

血液検査 では、白血球の数や種類、赤血球の数、血小板の数などを調べます。急性白血病の場合、幼若細胞の割合が顕著に増加していることが確認されます。一方、慢性白血病では、成熟した異常な白血球が増加しているのが特徴です。

骨髄検査 は、骨盤の骨(腸骨)から骨髄液を採取し、詳しく調べる検査です。この検査で、白血病細胞が骨髄にどのくらい存在するか、どのような種類の白血病細胞かなどを正確に診断することができます。急性白血病では、骨髄中の幼若細胞が20%以上を占めていることが診断基準の一つとなります。

また、慢性骨髄性白血病(CML)の診断では、特定の染色体異常(BCR-ABL融合遺伝子)の有無を調べる「遺伝子検査」が非常に重要です。この遺伝子があることで、慢性骨髄性白血病と診断されます。

診断の流れをまとめると、以下のようになります。

  1. 問診・身体診察: 症状や既往歴などを詳しく聞きます。
  2. 血液検査: 白血球の数や種類、赤血球、血小板などを調べます。
  3. 骨髄検査: 骨髄液を採取し、白血病細胞の有無や種類を詳しく調べます。
  4. 遺伝子検査・染色体検査: 特定の白血病で必要な検査を行います。

治療法:急性白血病と慢性白血病

急性白血病と慢性白血病では、病気の性質が異なるため、治療法も大きく異なります。急性白血病の治療は、進行が速いため、迅速かつ強力な治療が求められます。

急性白血病の主な治療法:

  • 化学療法(抗がん剤治療): 白血病細胞を叩くための中心的な治療法です。入院して、強い抗がん剤を点滴などで投与します。
  • 造血幹細胞移植: 化学療法で白血病細胞をできる限り減らした後に、健康な骨髄や造血幹細胞を移植する方法です。根治を目指せる可能性のある治療法ですが、体への負担も大きいです。

慢性白血病の主な治療法:

慢性白血病は、病気の進行がゆっくりであることや、近年新しい治療薬が登場したことで、治療法が大きく進歩しています。特に慢性骨髄性白血病(CML)では、分子標的薬という、白血病細胞の増殖に関わる特定の分子だけを狙い撃ちする薬が非常に効果的です。

分子標的薬は、従来の抗がん剤に比べて副作用が少なく、効果が高いことから、慢性骨髄性白血病の治療を大きく変えました。多くの場合、内服薬で治療が可能となり、患者さんのQOL(生活の質)も保ちやすくなっています。

慢性リンパ性白血病(CLL)では、病気の進行度や患者さんの状態に合わせて、分子標的薬や抗がん剤、免疫療法などが組み合わせて用いられます。

治療方針の決定には、以下の要素が考慮されます。

  • 病型(急性か慢性か、さらに細かく)
  • 年齢
  • 全身状態
  • 遺伝子異常の有無

予後(病気の先行き):急性白血病と慢性白血病

病気の予後、つまり病気の先行きについても、急性白血病と慢性白血病では違いがあります。これは、病気の進行スピードや治療法への反応性など、様々な要因が影響します。

急性白血病 は、進行が速く、治療も困難な場合があるため、予後は一般的に厳しいと言われることもあります。しかし、近年は新しい治療薬の開発や、早期発見・早期治療が進んだことにより、予後は大きく改善してきています。特に、小児の急性リンパ性白血病(ALL)は、治療成績が非常に良いことが知られています。

慢性白血病 は、進行がゆっくりなため、急性白血病に比べると、予後が良い傾向にあります。特に慢性骨髄性白血病(CML)は、分子標的薬の登場により、予後が劇的に改善しました。多くの患者さんが、病気と共存しながら、通常の生活を送れるようになっています。慢性リンパ性白血病(CLL)も、治療の選択肢が増え、予後が改善しています。

ただし、予後はあくまで統計的なものであり、個々の患者さんの状況によって異なります。 正確な予後については、担当医とよく相談することが大切です。

予後を左右する主な要因は以下の通りです。

  • 白血病の型
  • 病気の進行度
  • 染色体や遺伝子の異常
  • 患者さんの年齢や全身状態
  • 治療への反応性

まとめ:急性白血病と慢性白血病の違いを理解しよう

ここまで、急性白血病と慢性白血病の違いについて、進行スピード、細胞の種類、症状、診断、治療法、予後といった様々な視点から解説してきました。 急性白血病と慢性白血病の違い を理解することは、病気への不安を和らげ、正しい知識を持つことにつながります。どちらの病気も、早期発見・早期治療が重要であることに変わりはありません。もし気になる症状があれば、迷わず医療機関を受診しましょう。

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