「斜視」と「斜位」、この二つの言葉、どちらも目の位置に関するものですが、実は大きな違いがあります。 斜視 と 斜 位 の 違い を正しく理解することは、目の健康について考える上でとても大切です。ここでは、それぞれの状態や原因、そして見分け方まで、分かりやすく解説していきます。

目の位置のズレ:「斜視」と「斜位」の基本

「斜視」と「斜位」の最も大きな違いは、 両目で物を見ようとしたときに、目の位置がズレているかどうか という点です。斜視は、常に片方の目がズレてしまっている状態を指します。たとえるなら、カメラが勝手に傾いてしまうようなイメージです。一方、斜位は、普段は両目でしっかり物を見ているのですが、片方の目を隠したり、疲れていたりするときに、目の位置がズレてしまう状態です。これは、普段はまっすぐでも、ふとした瞬間に肩が傾いてしまうような感覚に似ています。

  • 斜視(しゃし): 常に片方の目がズレている状態。両目で物を見ようとしても、片方の目が目標にまっすぐ向かない。
  • 斜位(しゃい): 普段は両目で物を見ているが、片方の目を隠すとズレが生じる状態。両目を合わせたときは、ズレを無意識に補正している。

この違いを理解することが、 斜視 と 斜 位 の 違い を把握する第一歩です。

状態 目の位置 自覚症状
斜視 常にズレている 物が二重に見える(複視)、片方の目だけを使うようになる(抑制)、顔を傾ける
斜位 普段はまっすぐ、隠すとズレる 疲れ目、頭痛、肩こり、物がかすんで見えることがある

「斜視」とは? その特徴と原因

斜視は、先ほども触れたように、常に片方の目がズレている状態です。このズレにはいくつかの種類があります。

  1. 内斜視(ないしゃし): 片方の目が内側(鼻側)に寄ってしまう状態。乳幼児に多く見られます。
  2. 外斜視(がいしゃし): 片方の目が外側(耳側)に開いてしまう状態。
  3. 上斜視(じょうしゃし)・下斜視(かしやし): 片方の目が上下にズレてしまう状態。

斜視の原因は様々ですが、主に以下のようなものが考えられます。

  • 生まれつきの目の筋肉のバランスの悪さ: 目の動きを司る筋肉が、うまく連携できていない場合。
  • 遠視や近視、乱視などの屈折異常: ピントが合いにくいため、無理にピントを合わせようとして目がズレてしまうことがあります。特に遠視が原因の「調節性内斜視」は重要です。
  • 脳や神経の病気: まれに、脳腫瘍などが原因で斜視が起こることもあります。
  • 病気や怪我による視力低下: 片方の目の視力が極端に落ちると、そちらの目をあまり使わなくなり、ズレが生じることがあります。

斜視を早期に発見し、適切な治療を受けることは、将来の視力や両目で物を見る力(両眼視機能)の発達にとって非常に重要です。

「斜位」とは? その特徴と原因

斜位は、普段は両目で正しく物を見ているのですが、無意識のうちに目の位置をまっすぐに保つ力が弱まっている状態です。片方の目を隠したり、疲れたりすると、その隠された目が本来の位置からズレてしまいます。これは、無意識のうちに「輻輳(ふくそう)」や「開散(かいさん)」といった目の動きでズレを補正しているため、普段は気付かないことが多いのです。

斜位にも、斜視と同様にいくつかの種類があります。

  • 内斜位(ないしゃい): 普段はまっすぐだが、片目を隠すと目が内側に寄る傾向がある。
  • 外斜位(がいしゃい): 普段はまっすぐだが、片目を隠すと目が外側に開く傾向がある。
  • 上斜位(じょうしゃい)・下斜位(かしやい): 普段はまっすぐだが、片目を隠すと目が上下にズレる傾向がある。

斜位の原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 目の筋肉のアンバランス: 斜視ほど顕著ではないですが、目の筋肉の力が均等でない場合。
  • 視力やピント調節力の問題: 遠視、近視、乱視などが原因で、ピントを合わせるために余計な力を使っている場合。
  • 眼精疲労: 長時間のコンピューター作業や読書などで目が疲れているとき。
  • 全身の健康状態: 体調が悪いときや、睡眠不足のときなど。

斜位は、自覚症状がないことも多いですが、放置すると疲れ目や頭痛、肩こりなどの原因となることがあります。

「斜視」と「斜位」の見分け方:自分でできるチェック

「斜視と斜位の違い」を理解したところで、次にどうやって見分けるのか、簡単なチェック方法を見てみましょう。

チェック方法 説明 確認できること
カバーテスト 片方の目を手で覆い、もう片方の目で一点を見つめます。しばらくして、覆っていた手を離したときに、覆っていた方の目がどの位置に移動するかを見ます。 斜視か斜位か、またその種類(内斜視・外斜視など)の判断材料になります。
遠くを見る練習 部屋の遠くにある目標(時計や壁のポスターなど)をじっと見ます。 目が疲れやすい、ぼやけるといった症状がないか確認します。
読書やスマホの使用 普段通りに読書やスマホを使ってみます。 長時間使用した後に、目の疲れ、頭痛、肩こりなどがひどくならないか確認します。

これらのチェックはあくまで簡易的なものです。正確な診断のためには、眼科医による検査が必要です。

「斜視」と「斜位」の治療法:どう違うの?

「斜視と斜位の違い」を理解した上で、それぞれの治療法も理解しておきましょう。治療法は、状態や原因によって大きく異なります。

斜視の治療法

斜視の治療は、ズレを矯正し、両目で物を見る力を高めることを目的とします。

  1. 眼鏡やコンタクトレンズ: 遠視や近視、乱視などの屈折異常がある場合に、まずこれらを装用して視力を矯正します。
  2. 視能訓練(訓練療法): 目の筋肉を鍛えたり、両目の協調性を高めたりするための訓練を行います。例えば、弱視眼(視力が低い方の目)の視力回復を目指す訓練などです。
  3. 手術: 眼科医が、目の筋肉のバランスを整えるために手術を行うことがあります。特に、見た目のズレが大きい場合や、他の治療法で効果が得られない場合に行われます。

斜視の治療は、早期発見・早期治療が非常に重要です。

斜位の治療法

斜位は、普段は両目で物を見ているため、手術が必要になることは稀です。主な治療法は、目の疲れを軽減し、目の機能をサポートすることです。

  • 眼鏡やコンタクトレンズ: 屈折異常がある場合は、それを矯正することで目の負担を減らします。
  • 視能訓練: 目の筋肉のバランスを整えたり、両目で物を見る力を強化したりする訓練を行います。
  • 生活習慣の改善: 適切な休憩を取りながら作業をする、十分な睡眠をとるなど、目の負担を減らす工夫が大切です。

「斜視と斜位の違い」から、治療法も異なることがわかりますね。

「斜視」と「斜位」の合併:意外と多い?

「斜視と斜位の違い」を説明してきましたが、実際には、この両方の状態が組み合わさっていることもあります。これを「斜位合併斜視」と呼ぶこともあります。

例えば、普段は「外斜位」の傾向があるけれど、疲れてくると「外斜視」になってしまう、といったケースです。このように、単純にどちらか一方の状態であるとは限らず、両方の要素を持っている場合があるのです。

そのため、眼科医は、目の状態を詳しく検査し、斜視なのか、斜位なのか、あるいはその両方なのかを正確に診断した上で、最適な治療法を提案します。

まとめ:目の健康のために「斜視」と「斜位」を知ろう

ここまで、「斜視と斜位の違い」について、その特徴、原因、見分け方、そして治療法まで詳しく解説してきました。斜視は常に目がズレている状態、斜位は普段はまっすぐですが隠すとズレる状態、という点が大きな違いです。どちらの状態も、放置すると目の疲れや見え方に影響を与える可能性があります。

もし、ご自身やお子さんの目に気になる症状がある場合は、迷わず眼科医に相談しましょう。早期の正確な診断と適切な対応が、目の健康を守るための第一歩となります。

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